屋根は普段なかなか意識しない場所で、なんとなくずっと持つようなイメージがありますが、素材によって寿命がありその際には葺き替えなどのリフォームを行う必要があります。
他にも雨漏りが発生したり、強風で屋根や板金が飛散したり剥がれたりと意外を修理を必要とする場所です。
理想を言えば10年一度のサイクルで点検を受けてメンテナンスを行うと、雨漏りなどの大きな被害が起こることを防ぐことができます。
そしてスレート屋根は20年を過ぎた頃にカバー工法などのリフォームを行います。
とはいえ雨漏りなどは急に起こるものであり、修理費用は場合によっては高額になることもあるため、だいたいどのくらいになるのか知っておきたいですよね。
屋根にどのくらいの修理費用や屋根リフォームにどのくらいかかるのか相場を。知っておくことでプランを立てておくことができます。
また相場を知ることで高額すぎる金額を提示してくる悪徳業者を見分けることも可能です。
他にも損をしないためのポイントをご紹介します。
屋根修理の相場は?
一口に屋根修理といっても、どこがどのように破損したかによって費用は大きく異なってきます。
まずはよくある修理方法の相場を一覧でご紹介します。
屋根修理の相場はご自宅の屋根の種類によっても異なり、葺き替えやカバー工法の場合は、下地の傷み具合や、どんな屋根材を使用するかによっても大きく幅があります。
屋根の種類 | 修理方法と金額の目安 |
---|---|
瓦屋根 | 瓦の部分修理・差し替え 3万~30万円 漆喰の補修、棟の補修 8万〜60万円 瓦屋根の葺き直し 100万~180万円 瓦屋根の葺き替え 140万~350万円 |
スレート屋根 | 屋根材のひび割れ補修など 3万円~5万円 棟板金交換 15万~35万円 屋根塗装 35万~60万円 屋根のカバー工法 70万~160万円 屋根の葺き替え 80万~200万円 |
その他 | 雨樋の修理・交換 10万~30万円 雨漏り修理 3万~200万円 足場架設 15万~20万 |
屋根修理の相場①瓦屋根
瓦の部分修理・差し替え
瓦は丈夫な屋根材ですが、台風などの強風で飛来物がぶつかって衝撃で割れたり欠けを起こすことがあります。
そうした場合、多くは一枚からの差し替えで対応が可能です。
もしもセメント瓦だった場合、すでに廃盤になっておりほぼ在庫がない状態なので、破損や欠損を起こすと葺き替え工事が必要になります。
セメント瓦は1990年ごろに生産され、製造されてから30年ほど経過しています。セメント瓦の耐用年数が30~40年のため、そろそろリフォームを検討していただく時期を迎えています。
漆喰補修・詰め直し
瓦屋根の棟部分や、隅棟などには棟を固定して雨の吹き込みを防ぐために漆喰が施工されています。
この漆喰が経年劣化で剥がれたり崩れたりするとそこから雨が入り込んで雨漏りの原因となってしまいます。
こうした場合、古い漆喰を撤去して新しく詰め直す詰め直し工事を行います。また棟全体に変形や歪みが見られる場合には、棟を新しく積み直す工事を行います。
谷板金交換
谷板金は瓦屋根の中でも最も雨漏りを起こしやすい場所です。
屋根と屋根の継ぎ目部分で、谷のようにへこんでいる箇所を「谷部」と呼び、その形状から屋根に降った雨が集まる場所でもあります。
ここに板金を施工して樋のような役目を果たすのが谷板金(谷樋とも呼ばれます)です。
その役割上水に触れることが多く、ガルバリウム鋼板など錆びにくい素材で作られていますが、劣化すると錆が発生し、錆が進行すると穴あきが起こって雨漏りを起こします。
瓦屋根の葺き直し
瓦屋根のリフォームで独特なのがこの屋根の葺き直しです。
瓦屋根は屋根材の中でも最も耐久性が高く、50~80年とも言われています。とはいえ「瓦屋根」そのものが何もメンテナンスをしなくていいわけではなく、上記のような漆喰など瓦屋根よりも耐用年数が短いため定期的なメンテナンスが必要です。
他にも瓦屋根の下にあるルーフィングの耐用年数がおおよそ10~20年となっています。ルーフィングは瓦屋根の隙間から侵入した雨水が家の中に入らないように守っており、ルーフィングが劣化するとすぐに雨漏りしてしまいます。現在の瓦屋根をそのまま使用してルーフィングの張り替えを行うのが葺き直しです。
しかし長年使用した瓦は強風などの振動でぶつかるうちに角が丸くなり、ずれやすくなっています。一見新しい屋根材を必要としないので安く思えますが、古い瓦を割らないように慎重に扱う必要があり、手間がかかるため意外と高額になります。
屋根修理の相場②スレート屋根
屋根材のひび割れ補修など
コロニアル、カラーベストとも呼ばれるのがこのスレート屋根は、日本で大変多くみられる屋根材です。
スレートは厚さは約5mmと薄い屋根材のため割れやすい傾向があります。
また塗装が劣化すると吸水して膨張、乾燥して収縮を繰り替えすことでひび割れを起こします。
部分的に割れているスレートの補修にはコーキングで対応します。また割れたり剥がれたりしたスレート屋根材を部分的に差し替えすることも可能です。
しかし全体にヒビが入っているような場合には、全体的な補修である屋根塗装やカバー工法などを検討する必要があります。
棟板金交換
スレート屋根で多いのがこちらの棟板金の交換です。
屋根の頂点部分にある板金で、屋根を固定し、隙間を塞いで雨が入らないようにしています。
棟板金は経年劣化によって10年ほど経過すると板金を下地に固定している釘がゆるみ、隙間から雨が入って下地である貫板を腐食させてしまいます。
貫板が腐食すると固定する力が弱まり、台風によってめくれたり飛散したりします。
築10年を過ぎている場合にはこうした被害がいつでも起こる可能性があります。飛散したり剥がれた棟板金は貫板ごと交換します。
弊社では腐食を起こしにくい人工樹脂の貫板を使用しております。
屋根塗装
スレート屋根材は基材がセメントのため、素材そのものに防水機能がありません。
そのため防水機能をもつ塗装によって表面をコーティングして保護されています。しかし塗装は経年で徐々に劣化して色褪せなど見た目の劣化とともに防水や撥水などの保護する機能も低下していきます。
塗装する屋根の面積や、使用する塗料のグレードによって価格は大きく幅があります。
とくにどの塗料を使用するかによって、何年ごとに塗装が必要かのメンテナンスのサイクルが代わってくるため長期的な計画を立てて決めておくといいでしょう。
スレート屋根以外にも、セメント瓦や、トタン屋根・ガルバリウム鋼板屋根にも塗装が必要です。
屋根のカバー工法
スレート屋根が耐用年数を迎えるなど全面的なリフォームが必要な時に採用されるのがこちらのカバー工法です。
現在の屋根材はそのままで撤去せずに上から新しいルーフィングと屋根材を被せます。
屋根が二重になるので断熱性や防音性の向上が期待できる点と、今お使いの屋根材を撤去する費用がかからないため葺き替え工事よりは安く抑えることができる点が特徴です。
屋根が二重となる分重量が増すので、重い屋根材ではなく金属屋根など軽量な屋根材を使用します。
ただし雨漏りを起こしていてルーフィングの下の野地板まで傷んでいるような場合には屋根を剥がして補修する必要があるため、カバー工法ではなく葺き替え工事が必要となります。
屋根葺き替え工事
今の屋根を解体・撤去して新しく屋根を葺き替えます。もっとも高額ですが、最もリフォーム効果の高い工事です。
葺き替え工事では屋根材を撤去するため、屋根を固定する野地板の補修が行なえます。
使用する屋根材の種類によって費用が大きく変わりますが、他にも野地板がどこまで傷んでいるのか、一部の補修ですむのか張り替えまで必要なのか、増し貼りで対応するのかによっても費用が異なってきます。
瓦屋根の場合、土葺きで施工されていると大量の土の撤去費用がかかり余分に費用が必要です。
スレート屋根の場合は、現在の屋根材にアスベストが含まれていると、アスベストの解体・撤去・処理費用がかかり、高額になります。
屋根修理の相場③雨樋の補修・交換
他にも雨樋が破損や劣化を起こした場合、修理や交換が必要です。
雨樋の部分的な交換ですむ場合もありますが、経年劣化が大きな破損の場合は雨樋全体を交換する必要があり、その場合には足場の費用も必要となるため思っていたよりも費用がかかってしまいます。
屋根修理の相場④雨漏り修理
屋根の異常に気付くのは雨漏りという方も多くおられます。
雨漏り修理の費用の相場は3万~200万円と大きく幅があり、こうだ!という数字を提示するのが難しい工事です。
というのも雨漏りには原因が多数あり、症状もまったく異なるため、シーリングの補修だけで済む場合もあれば、屋根から侵入した雨漏りが下地を腐食させただけでなく天井も劣化させており、屋根の葺き替えだけでなく天井の張り替えまで必要だったというケースもあるからです。
雨漏り修理で重要なのは、プロに依頼して雨漏り調査できっちり原因を特定して必要な工事を行うことと、雨漏りを発見したらすぐに調査を依頼することです。雨漏りは放置すると悪化してしまい、大きな被害に発展してしまいます。
屋根修理で損をしないためのポイントは?
屋根修理は場合によっては高額な修理です。大きなお金をかけるのだから失敗したくない、損をしたくないというのが誰しもあると思います。
屋根修理で損をしないために重要なポイントは、どの屋根修理業者に依頼するのかという点です。
普段屋根修理や屋根リフォームを行う機会がないため、どこに依頼したらわからないという方も多いかと思います。
下記のような点に注意をしてください。
訪問営業してくる業者は避ける
最近特に多いのが「板金が浮いている」「屋根が剥がれている」等と言って突然訪問して、屋根の不具合を指摘してくる訪問業者です。
弊社でもよくご相談をいただくのですが、こういった業者は本当に不具合があるかどうかは関係がありません。
屋根の板金は浮きやすい場所のため、ありそうな不具合を指摘して不安を煽り、契約をとるのが目的です。
実際に契約をしたらその後全然連絡がない、高額な工事費用を請求されたというケースがあるため、訪問してくる業者とは契約しないよう注意をしてください。
相見積をとって比較検討
屋根修理を検討する際には複数の業者にあいみつもりをとって内容を検討してください。
同じ工事でそれぞれどんな材料を使っているのか、納得いく工事内容なのかどうかがポイントです。
工事内容や使用材料が曖昧な見積書や、極端に相場より高いところや安いところも注意をしてください。
値段だけでは選ばない
屋根修理にお金をかけたいという人はあまりいませんよね。できるだけ安く済ませたいというのが本音だと思います。
残念なことに現地調査をうかがうと6割くらいの割合で前の業者さんの手抜き工事に遭遇します。
下地補修や塗装の中塗りをしていないなど様々ですが安すぎる工事はこうした見えないところで手を抜いてその分浮かせている実態があります。
手抜き工事をされてしまうと仕上がりはわかりませんが、数年でもう一度工事をしなくてはならない、手抜き工事の分の補修費用までかかってしまうと損をしてしまいます。
本当に必要な工事を確実に行うことが、長期的に家を守ることにつながります。
工事の内容についてなぜこの工事が必要なのかをしっかりと説明を行い、実績と信頼のある業者を選ぶことが損をしないために重要です。
火災保険を利用できるか相談する
場合によっては高額な屋根修理代ですが、毎月支払いをしている火災保険や共済でまかなえるかもしれません。
その破損の原因が台風や水害・雹などの自然災害である場合、ご加入の火災保険の条件によって火災保険の保障の対象となる可能性があります。
ただし経年劣化による破損の場合は対象外のためご注意ください。
せっかく加入して支払いしている火災保険が適用できたらうれしいですよね。対象となるかどうか、ご加入の保険の担当者などに相談してみるといいでしょう。
まとめ
屋根修理費用の相場についてご紹介しましたが、屋根の修理費用は損害の状態や、修理の方法、施工面積、施工内容などによって大きく異なります。
雨漏り修理は特に修理内容によって幅があります。
雨漏り修理で重要なことは迅速な修理依頼と、的確に雨漏り箇所を突き止めることです。雨漏りは放置すると悪化するため、早期に相談すればそれだけ被害が少なく安い費用で工事ができます。
屋根修理で損をしないためには、今必要な工事を確実に行う信頼できる業者に依頼することです。安さだけでえらんで手抜き工事をされてしまっては櫃っような効果が得られずまた短いスパンで工事をする必要が生じてしまいます。
見積を比較検討し、工事内容の説明を聞いた上で信頼できそうかどうか、価格が適正かあるかどうかを判断して決定することが重要です。