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屋根屋のブログ

コロニアル(スレート屋根)のアスベスト屋根の危険性と見分け方・撤去費用

2022/08/24

アスベストは軽量でありながら耐久性のある天然素材として多くの建材に使用されてきました。
しかし現在では健康被害が懸念されて2006年に使用は全面禁止されています。
禁止されるまで特にスレート(コロニアル)屋根材にもアスベストは使用されていました。
自宅の屋根がアスベスト入りかどうか不安という方もおられるのではないでしょうか。
今回こちらの記事では、アスベストの危険性やアスベスト屋根の見分け方についてご紹介いたします。

アスベスト屋根の危険性と見分け方

アスベストの危険性

アスベストとは

アスベスト(石綿)
アスベストは、石綿とも呼ばれる天然に存在する微細な鉱物のことで、繊維状ケイ酸塩鉱物の総称です。蛇紋岩や角閃石が繊維状に結晶したものを指します。
この繊維は非常に細かく、1本の細さは髪の毛の5000分の1程度です。耐久性、耐熱性などに優れた非常に優秀な材料として建材のみでなく様々なところに使用されてきました。
古代エジプトでは石綿を含む布は非常に高価で貴重なものとしてミイラを包む布としても使用されていたほどです。
しかし空中に飛散した細かい石綿の繊維を長期間にわたって大量に吸引することで、肺がんや悪性中皮腫などの発症リスクがあるとして1970年にはアメリカでら健康被害に対する訴訟が起こり、日本でも1970年代後半から危険性が指摘されてきました。1980年に北欧諸国が禁止に踏み切り、2004年には日本でもほぼ全面禁止され、2006年には完全に全面禁止となりました。

アスベストの種類

アスベストには、蛇紋石系が1種類、角閃石系が5種類の計6種類があります。
蛇紋石系のアスベストは、クリソタイル(白石綿)といいます。
角閃石系は、クロシドライト(青石綿)、アモサイト(茶石綿)、アンソフィライト、トレモライト、アクチノライトの5種類となります。

産業、工業界で使われてきたものは圧倒的にクリソタイルが多く、次いでクロシドライトとアモサイトです。この3種類の有害性の強さは、クロシドライトアモサイトクリソタイルとなっております。

アスベストの危険度

発じん性建材の種類
レベル1著しく高い吹付け材
レベル2高い保温剤や断熱材
レベル3比較的低い
その他石綿含有建材
(※屋根材はこちらに含まれます)

屋根材でいうと、アスベストはスレート(コロニアル)屋根などに使用されておりました。その際、セメントなどに混ぜ込まれて固定されているため、スレートの場合最も発じん性の低いレベル3に分類されます。破砕や極端な劣化がない限り、飛散することはありえないのです。よって、そのままにしておいても問題ないことがほとんどです。

アスベストの屋根を見分ける方法

スレート屋根
自宅の屋根がアスベストを含むかどうかは、「建設時期」「屋根材の種類(商品名)」「劣化の状態」の3つの要素から見分けられます。

建設時期で見分ける

2004年以前の屋根材には、アスベストが含まれているおそれがあります。

アスベストは2004年や2006年に法律で利用を制限されていますが、特に2004年の法規制が重要です。
2004年労働安全衛生法によって代替が困難なものを除くすべての石綿製品の製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されましたがこの時には重量の1%以下を含有するクリソタイルの使用は認められていました。
1%以下というと、屋根材では実質的なアスベスト含有屋根材禁止令となります。
2006年になって全面禁止となりました。

このため、2005年以降の屋根材製品であればアスベストを含んでいるおそれはないといえます。

屋根材の種類(商品名)で見分ける

法規制以前、アスベストが含まれていた屋根材は「スレート瓦」「セメント瓦」です。一方で、アスベストが含まれていない屋根材には「金属屋根」「粘土瓦」があります。 ご自宅の屋根材がスレートやセメント瓦で、かつ2004年以前に建てられたものでしたら、アスベストを含んでいる可能性があります

ちなみに、アスベスト含有の代表的な屋根材としては、旧クボタの「コロニアル」と「アーバニー」、旧セキスイルーフテック「かわらU」があります。

国土交通省が公開している「石綿(アスベスト)含有建材データベース」では、建材名、商品名、品番・型番でアスベスト含有かどうかを検索することができます。
商品名がわからない場合、見た目だけで商品名を判別することはかなり困難になります。
スレート屋根はどれも同じような見た目をしており、見た目はそのままでアスベストをなくした商品も存在するからです。

さらに図面と実際に使用している商品が異なるようなケースもあります。
「コロニアル」は元々平板化粧スレートの商品名でしたが、広く流通する中でスレート屋根そのものを指して使用されるようになりました。
スレート屋根は似たような形状をしていることから、図面に「コロニアル」と記載されていても似たような代替品が使用されるような風潮が存在していました。

劣化の状態で見分ける

コロニアルNEO

スレート(コロニアル)屋根にアスベストが含まれているかどうかは、どのような劣化の状態であるかで判別する方法が有効です。
アスベストは元々建材を強化するために使用していたため、アスベストを含まない屋根は脆弱な傾向があります。
特に1990年前半~2000年前半に製造されたアスベストを含まない第二世代スレートは、アスベストに代わる十分な建材を強化する代替品を開発できていないため、特に劣化状態が激しくなっています。
築20年前後で複数のヒビが入っている、剥離を起こしている、などの劣化が見られる場合は、アスベストが含まれていない可能性が高くなります
確認が難しい場合には、屋根修理業者など専門業者に調査を依頼するのが確実です。

アスベストを含むスレート屋根のリフォーム方法

カバー工法

カバー工法は葺き替えよりも解体費用がかからない分コストを抑えられることから人気のある工事です。
ただし、どんな屋根でも行えるわけではなく、例えば雨漏りを起こしていて下地の野地板まで劣化しているような場合にはカバー工法は行えません。
野地板が劣化していると屋根を支える力が低下しているため、この場合は現在の屋根材を撤去して野地板を補修する必要があります。

アスベスト屋根をカバー工法しても大丈夫なの?

カバー工法の場合、アスベスト屋根は解体せずそのまま残るため健康被害を懸念される方もおられますが、アスベストの危険レベルには三段階あり、屋根材の場合はレベル3でもっとも低い危険度となっています。
屋根材におけるアスベストはセメントなどに混入されているため、非飛散性アスベストとされており、そのままでは飛散することはありません。
このレベル3の場合には粉砕や破損などの際に飛散が懸念されるので、リフォームや解体の際にはアスベストが含まれているかの調査を事前に行う必要があります。

葺き替え

カバー工法で一旦封じ込めたアスベストですが、アスベストの問題が解決したわけではありません。
次に屋根が劣化した際には、一度カバー工法を行った屋根に再度カバー工法は行えないため、次回は葺き替え工事を行います。
野地板が劣化している場合や、屋根全体の傷みが激しい場合にも葺き替え工事が必要です。
アスベストを含む屋根を完全に撤去し、野地板の劣化状態に合わせて張替えや重ね貼りを行い、上から新しいルーフィングと屋根材を施工します。

アスベストの撤去・解体費用

アスベストの撤去・処分費用は1立法メートル当たり3万円~5万円が目安です。またアスベスト調査費用が別途かかります。
アスベストは産業廃棄物に相当し、一般的な産業廃棄物のように粉砕すると飛散してしまうため、容量を減らす中間処理も行えず、さらに2重梱包をして最終処分場に持ち込む必要があるため通常の産業廃棄物よりも処理費用が高額になっています。
また処理費用は年々高額になっている傾向があります。

スレートの葺き替え工事についてさらに詳しくは下記記事をご覧ください。

進むアスベスト含有の建物解体時の法規制

アスベストを含む可能性がある建物の解体・リフォームへの法規制が年々厳しくなっています。
令和2年6月には、解体工事の際には石綿の飛散を防止するため、より安全を講じて事前の調査結果の義務付けと、工事現場の隔離などの対策を行わなかった場合には罰則となることが定められました。
令和5年10月1日以降には、有資格者によるアスベストの事前調査が義務化されました。

弊社では安全にアスベスト撤去作業などが行える「石綿作業主任者」と、調査を行える「一般建築物石綿含有建材調査者」の資格を所持しております。


まとめ

アスベストには3段階の危険性があります。屋根材は最も危険度が低いレベル3ですが、破損や切断をすると飛散するため危険です。

対策としては、既存の屋根材の上から新しい屋根材を重ねる「カバー工法」と、完全に屋根材を交換する「葺き替え」があります。
費用を節約したいならカバー工法、アスベストの危険性を完全に排除したいのなら葺き替えが適しているでしょう。
カバー工法はアスベスト含有のスレート屋根に行っても安心ですが、今の問題を先送りにしてしまうともいえます。
まずは屋根の調査を行ってアスベスト入りかどうかを判定し、お客様のご希望にあわせて工事を提案してくれる業者を選ぶのが納得できる工事のポイントです。

アスベストを含む屋根の工事や、雨漏り修理・屋根修理など屋根工事でお悩みのある方は福田総業にご相談ください!

【アスベスト含有屋根の施工実績】


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