外壁タイルは雨漏りしやすい外壁です。タイル自体は対候性が高くメンテナンスフリーと言えますが、目地の部分は10年程度で劣化し、雨漏りの原因になりやすいです。
外壁タイルの特に目地の部分からの雨漏りを防ぐために有効なのがセブンS防水という透明塗膜防水材です。
この記事では、外壁タイルの雨漏りの修理方法やセブンS防水の有用性について解説します。

タイル外壁はメンテナンスフリーではない?
タイルの外壁は、メンテナンスが必要ないから高くてもコストパフォーマンスが良いと言われて選択する方もいらっしゃると思います。
タイルそのものは、土、石、砂などの自然素材を高温で焼き成形した無機質の物質です。そのため、紫外線や雨風による劣化が起きにくく、耐候性に優れています。
40年経過しても劣化が起きにくく、その意味でメンテナンスフリーと言うことができます。
ただ、タイルの外壁はタイルだけで構成されているわけではなく、タイルの隙間に目地があります。
目地の部分の耐用年数は10年ほどしかないため、定期的なメンテナンスが必要になります。
タイル外壁は雨漏りが発生しやすい
実はタイル外壁は雨漏りが発生しやすい外壁材です。
タイル自体は、メンテナンスフリーでも、タイルの隙間の目地はひび割れが発生しやすいからです。
タイル外壁が雨漏りする原因を紹介します。
【雨漏りが発生している初期症状チェックリスト】
・室内クロスにシミやカビが出ている
・外壁にタイルの浮きや割れが見える
・目地にひび割れや黒ずみがある
・室内にカビ臭さを感じる
これらの症状がある場合は、雨漏りのリスクが高まっているため早めにご相談ください。
サイディング外壁とタイル外壁の違い
最近の住宅で最も多く使用されているのが「サイディング外壁」です。
サイディング外壁には様々な種類があり、その中にはタイルそっくりなものもあります。
サイディング外壁とタイル外壁は見た目が似ていることもありますが、工法や使用する材料などに大きな違いがあります。
サイディング外壁
サイディングにはいくつか種類がありますがセメントに繊維質を混ぜたものを焼成し、板状に成形した外壁材を貼り付けていく窯業系サイディングが主流です。この板状の外壁材を張り合わせるため、継ぎ目にコーキング(シーリング材)を充填して、防水性を確保しています。
タイル外壁
タイル外壁は、長石・石英・粘土などを高温で焼成して作られたタイルを、モルタルやセメントを使って下地に貼り付ける工法です。
タイルとタイルの間には、モルタルやセメント系の目地材が詰められ、仕上げられます。
このように、サイディングとタイル外壁では目地の材料やメンテナンスの方法が異なります。
そのため、タイル外壁の雨漏り対策では、モルタル目地や伸縮目地、開口部周囲のコーキングの劣化に着目する必要があります。
タイル外壁の主な雨漏り箇所
湿式工法の場合モルタルが劣化しやすい
タイル外壁の工法は、湿式工法と乾式工法があります。
乾式工法は、弾性接着剤により下地にタイルを貼り付ける工法です。
弾性接着剤はすぐに乾きますし、外壁材の伸縮の動きに追従しやすく、タイルの剥離や剥落、目地の割れに強い工法で、現在では主流の工法になっています。
それに対して一昔前のタイル外壁は、湿式工法を採用しているのが一般的です。
湿式工法はモルタルで下地を作り、そこにタイルを埋め込んでいく形の工法で、タイルを接着するためにモルタルを使っています。
モルタルは、硬化すると外壁が伸縮する動きに追従することができなくなります。
すると、タイルの目地の部分でひび割れが発生してしまい、そのひび割れから外壁内部に雨水が染み込んで雨漏りにつながってしまうわけです。
タイル外壁の目地(モルタル部分)の劣化と、伸縮目地・開口部のコーキング劣化
タイル外壁の目地には、一般的にモルタルやセメント系の充填材が使用されています。
このモルタル目地は、時間の経過とともに劣化し、ひび割れや肉痩せを起こすことがあります。
ひび割れた目地から雨水が侵入すると、外壁内部に水が回り込み、雨漏りにつながる原因となります。
そして内部にまで水が浸透すると中のモルタルが染み出して白華現象(エフロレッセンス)を起こすことがあります。
また、タイル外壁でも、建物の動きに対応するために設けられている「伸縮目地」や、サッシ周りなどの開口部まわりには、コーキング(シーリング材)が使われていることがあります。
これらのコーキング部分も、10年前後で劣化して硬化や亀裂を生じやすく、隙間から雨水が浸入するリスクを高めます。
タイルに割れが生じることもある
湿式工法の場合、タイル外壁は下地のモルタルが硬化することで、タイルと下地のモルタルが一体化したような状態になります。
そして、下地のモルタルがひび割れる状況になると、タイルも一緒にひび割れてしまうことがあります。
ひび割れが生じた隙間からは外壁内部に雨水が染み込んでしまい、雨漏りの原因になります。
特にサッシなどの開口部付近は、ひび割れが生じやすい箇所です。
タイルが浮いたり剥離することがある
タイルは、釘などで下地に止められているわけではなく、モルタル又は弾性接着剤でくっつけているだけです。
そのため、接着力が弱まると、タイルが剥がれ落ちてしまうことがあります。
その結果、下地に雨水が当たり、雨漏りの原因になってしまいます。
タイル外壁からの雨漏りが生じている場合に必要な工事
タイル外壁は様々な要因により雨漏りが生じることがあります。
タイル外壁のひび割れから雨水が外壁内部に染み込んでも、すぐに室内での雨漏りにつながるわけではありません。
外壁内部には、構造用合板が張られて、その外側に防水シートが回されるなど、幾重にも防水対策が講じられています。
室内で雨染みを発見した時は、こうした防水の機能を突破したうえで、雨水が染み込んだことになりますから、雨水が浸入してから相当の期間が経過していることになります。
そのため、長期間にわたって外壁内部が雨水で湿った状態になってしまい、かなり痛みが生じていることもあります。
特に、柱や梁、構造用合板といった建物を支えるための大切な躯体が腐食している場合は、これらの躯体の交換等の大規模な修繕が必要になってしまいます。
こうした状態になる前に、雨漏りが生じるのを防ぐためのメンテナンスが大切です。
タイル外壁からの雨漏りを防ぐためのメンテナンス方法
タイル外壁からの雨漏りを防ぐためには、室内で雨染みを発見してからではなく、タイル外壁をよく観察して劣化症状が生じている場合には、直ちに対処することが大切です。
タイル外壁の劣化症状ごとの対処方法を紹介します。
外壁からタイルが浮いている場合

湿式工法で施工されたタイル外壁の場合は、下地と目地のモルタルの補修が必要です。
外壁からタイルが浮いている場合はタイルの接着力が失われている証拠なので、放置するとタイルの剥離、剥落につながってしまいます。
そこで、ピンニング工法と言い、目地部分に穴を開けてエポキシ樹脂を注入して、内部の隙間を埋め、密着性を高める工事を行う必要があります。
その後、目地の部分をモルタルで仕上げます。
コーキングが劣化している場合
タイル外壁の目地のうち、コーキング(シーリング)を打った部分については、肉痩せやひび割れが生じているときは、打ち替え工事が必要です。
古いコーキング材を撤去したうえで、プライマーを塗布し、新しいコーキング材を充填する工事を行います。
タイルのひび割れや剥離・剥落

タイルのひび割れや剥離・剥落が生じている場合はその隙間から雨水が入ってしまうため、新しいタイルと交換します。
モルタルの目地の劣化
モルタルの目地は歳月が経つにつれて様々な劣化症状が生じます。
目地のひび割れが代表的ですが、それ以外にも、次のような症状が生じます。
エフロレッセンス(白華現象)

目地から白い粉が出て、タイルを汚してしまう現象です。
目地の部分が劣化して雨水が染み込むようになると、モルタルに含まれるカルシウム成分が溶け出して、このような現象が生じます。
エフロレッセンスが生じる原因は様々ですが、モルタルの目地の劣化が原因であることが多いです。
目地の肉痩せ
目地の部分は歳月が経つにつれて、劣化するだけでなく痩せていきます。
目地が肉痩せするとひび割れも生じやすくなりますし、外壁内部への雨水が浸入しやすくなります。
このようにタイルの隙間を埋めるモルタルの目地に劣化が見られる場合は、目地にモルタルを増し打ちするといった方法でメンテナンスを行う必要があります。
セブンS防水による雨漏り修理
タイル外壁からの雨漏りは様々な要因がありますが、中でも厄介なのが、タイルの目地部分のひび割れや劣化が原因の場合です。
目地部分のひび割れや劣化は見過ごされやすい上、メンテナンス作業も手間がかかります。
目地部分の劣化は、雨水が浸透しやすいことが原因で生じます。
そこで、目地部分を含め、タイル外壁全体に防水材を塗布する形で保護することで、雨漏りに至るのを防ぐ工法があります。
セブンS防水は、こうした工法で用いられるもので、タイル外壁に塗布するのに最適な透明塗膜防水材です。
タイル表面に著しい汚れや、下地の損傷が大きい場合は、先に別の補修工事が必要になるケースもあります。そのため、事前の診断が重要です。
セブンS防水の特長
セブンS防水は、タイル外壁の防水性を高めるだけでなく、次のような特長があります。
透明の防水材なので美観を損なわない
セブンS防水は透明の防水材なので、タイルの外壁の意匠をそのまま維持することができます。
耐久性が高い
セブンS防水はタイルや目地への付着が良好なので、タイル外壁によく馴染みます。
そして、10年といった期間を経過しても劣化が少なく、外壁面を保護するのに役立ちます。
高弾性の塗料である
セブンS防水は、弾性があり、タイルや目地への追従性が高い防水材です。
タイルや目地にひび割れが生じていても、雨水の浸透を防ぐことができます。
セブンS防水の施工手順
セブンS防水の施工手順は次の通りです。
高圧洗浄
一般的な外壁材の塗装と同様にタイル外壁の汚れを丁寧に落とします。
シーラーの塗布

シーラーとは、下塗り用の塗料のことです。
セブンS防水とタイル、目地との密着性を高めることが目的です。
セブンS防水の塗布

セブンS防水を中塗り、上塗りの2回に分けて、タイルと目地に塗布します。
メーカーで定められた量を塗ることで防水機能をしっかり発揮できるようにします。
トップコートの塗布

セブンS防水では、最後にトップコートを塗布します。
これによって強固な塗装面を作り耐久性を高めます。
セブンS工法によるタイル外壁の雨漏り修理の事例
横浜市にてセブンS工法によるタイル外壁の雨漏り修理を行った施工事例をご紹介します。
横浜市港南区にて外壁タイルからの雨漏り修理(セブンS防水)
こちらのお客様は、ご自宅の数か所から雨漏りが発生しており、近所の工務店に何度か依頼されていましたが、毎回高い修理費用を払っても改善されず不信感をもたれていました。
弊社の近くに住まわれていたので弊社のことを以前から知っていただいており、今回ご依頼いただきました。

場所によっては劣化が進行してエフロレッセンスという白い付着物が見られました。
またコーキングの劣化なども見られます。


屋上やベランダの防水も劣化していたため合わせてウレタン防水工事も行いました。

しっかりと高圧洗浄や薬品を使ってエフロを落とした上でS-T工法によるセブンS防水を行いました。
セブンSシーラーを塗布した後、セブンSを二回吹き付け、トップコートを塗布して仕上げました。


現場住所 | 横浜市港南区 |
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施工内容 | 屋上・バルコニー・タイル外壁防水工事、シール打ち替え工事、付帯部塗装など |
使用材 | 外壁(タイル):セブンケミカルのセブンS-T工法 屋上:ダイフレックスのDSカラーゼロ |
これまで何度も雨漏りして修理をしても直らないことに悩まれておられましたが、今回雨漏りが止まって大変お喜びいただけました。
雨漏りは発生箇所に対して適切な施工を行うことが大変重要です。
まとめ
タイル外壁からの雨漏りは、目地の細かい部分から生じていることもあり原因を突き止めにくいこともあります。
また、室内で雨漏りに気づいたときは、すでに外壁内部の痛みがかなり進行していることもあります。
こうした事態を防ぐためには、雨漏りを生じさせないことがポイントです。セブンS防水はそのために有効な防水材です。
素材や状態によって適切な雨漏り修理の方法をとらないと、何度修理しても雨漏りが直らないという事態になってしまいます。
タイル外壁からの雨漏りにはセブンS防水が有効です。
福田総業では、しっかりと原因を調査した上で最適な施工方法をご提案いたします。
タイル外壁からの雨漏りの修理やセブンS防水の塗装工事も承っています。
横浜の雨漏り修理は福田総業にお任せください。