家を長持ちさせるために重要なことの一つに雨漏り防止と結露の防止があります。
屋根とともに家を紫外線や風雨から守る外壁。
この外壁も雨漏りや結露を防ぐために、現在では通気層を設ける外壁通気工法が主流となっています。
今回は外壁の主な施工方法や、外壁通気工法についてご紹介いたします。
外壁の施工方法
外壁を施工する際に主に二つの方法があります。
一つは通気工法で、柱と外壁材の間に通気層を設けて壁の中に空気の通り道を作り、湿気などがこもらないようにする工法です。
最近の新築住宅でも多く採用されるようになりました。
もう一つは直張り工法で、こちらは昔から用いられてきたやり方です。
柱の外側に防水紙(アスファルトフェルト)を貼り、その上から外壁材を直接貼り付ける方法です。
モルタルなど湿式工法の壁でよく用いられています。
外壁通気工法とは?なぜ雨漏り対策に有効なのか?
出典:ニチハ株式会社「外壁通気構法」より
外壁通気工法は上述のように、外壁と躯体に間に通気層を設ける工法です。
躯体である柱の外側に防水紙を貼り、胴縁という部材を一定の間隔で施工して空間を作り、上から外壁材を施工します。
地震などで建物が強い衝撃を受けると、揺れに追従して外壁にひび割れなどが生じることがあります。また自然災害だけでなく外壁が劣化してくることでひび割れが発生することも。こうしたひび割れが発生すると、隙間から雨水などが内部に侵入してしまいます。
直張り工法の場合、侵入した雨水は外壁材とすぐ下にある躯体に密着している防水紙の間に留まり、外壁材を躯体に固定している釘の隙間などから内部に侵入しやがて雨漏りへと発展してしまうのです。
しかし通気層を設けることで、ひび割れなどから侵入した雨水は通気層を通って戸外へ排出することが可能になります。
外壁通気工法では、柱などの躯体の外側に貼る防水紙には一般的に「透湿防水シート」を用います。
この防水紙には水の侵入は遮断し、湿気などの水蒸気は通過させる機能があるため、外から入り込んだ雨水はシャットダウンして排出し、屋内から侵入した湿気は通すので屋外に排出するということが可能になります。
特に高気密・高断熱住宅では必須というほどよく採用されています。
外壁通気工法のメリット
雨漏りから守り建物の耐久性を向上
上でご紹介したように、外壁通気工法は壁と躯体の間に空気の通り道を設けることで、外から侵入した雨水が滞留せずに排出される仕組みになっています。また透湿防水シートによって侵入した雨水が内部に入ることを防いでいます。
木造住宅において柱などの木材が濡れてしまうことはやがて躯体の腐食をまねき、建物の耐久性を大きく損ねてしまいます。
そのため柱などの躯体が濡れないようにして乾燥状態にしておくことが、家の耐久性を保つためには大変重要なのです。
湿気が建物内にこもることを防ぐ
外壁通気工法は壁の中に通気層があることで、内部から侵入した湿気を外に逃がすことができます。
冬場は室内で暖房を使用すると湿気で結露が発生しますが、これを表面結露と呼びます。
温度が高いほど空気はたくさんの水分を含むことができるため暖かい室内の空気はたくさんの水分を含んでいます。しかし外気と接する窓やサッシ廻りは温度が低いので水分を多く含めずに、水滴となって付着します。
内部結露は、この暖かい空気が壁や断熱材の内部に侵入して、壁内や天井など見えない場所で結露を起こすことです。
放置すると木材の腐食やカビの発生を起こして、建物の強度を大きく下げてしまいます。
壁に通気層を設けることで、透湿防水シートが湿気を通してくれるため排出し、カビや内部結露を防ぐことができるのです。
外壁通気工法のデメリット
外壁の強度が下がることがある
外壁内に隙間を設けるため、隙間の分だけ直貼り工法よりも釘などの負担が大きくなります。
そのため大きな衝撃を受けると釘がはずれてしまうことがあり、中越沖地震では外壁通気工法の外壁が落下した例が見られました。
火災時に通気層から火災が広がりやすくなる
通気層はふさがっていては意味がないため、土台の水切りなどから取り入れた空気を軒裏に設けた換気口から排出する煙突のような役目を果たしています。
火災の際には通期工法によって乾燥した木材は燃えやすく、通気層の煙突効果で炎の抜け道となって一気に燃え広がる可能性があります。
直張工法は塗り替えではなく張り替えが推奨
直張工法の場合は、塗装による塗り替えではなく、通気工法に張り替えることが推奨されています。
古くから用いられてきた直張工法ですが、特にサイディングの直張工法はサイディングから侵入した水が湿気が蒸発する際に塗膜が膨れたり剥がれたりする他に、壁内結露を原因とする不具合が多く発見されています。
施工法によっては雨漏りを起こすことがある
壁内結露など内部結露、そして雨漏りを防ぐ外壁通気工法ですが、施工方法によっては雨漏りを起こしてしまうこともあります。
せっかく通気層が設けられていても、胴縁の間隔が適切でないケースや、窓の周りの胴縁と壁の胴縁をくっつけてしまい空気の通り道を遮断してしまうケース、空気の抜け道である軒裏の換気口を設置していても天井下地材で空気の通り道を遮断してしまうケースなど、外壁通気工法をよく理解していない業者が施工すると雨漏りや内部結露を起こす原因となってしまいます。
外壁の施工はしっかりと経験ある業者に依頼することが雨漏りを防ぎ、建物を長持ちさせるためにもとても重要です。
業者選びはもっとも難しいところではありますが、当コラムでも様々な知識をお伝えして不安な点は質問などしていただけるよう活用していただければ幸いです。
まとめ
今回は外壁通気工法についてご紹介しました。
通気工法は壁に通気層を設けて透湿防水シートを施工することで内部結露や雨漏りを防ぐことができます。
現在日本の住宅の約8割の外壁は窯業系サイディングですが、この窯業系サイディングでは標準工法となり、現在では主流の施工方法です。
1990年ごろの住宅ではモルタル外壁が主流であり、その頃は直貼り工法が主流でした。
メリットの多い外壁通気工法ですが施工方法によっては雨漏りを起こすこともあります。
また直貼り工法では導入が遅れている現状もあります。
お家の耐久性には欠かせない雨漏りと内部結露対策。
外壁の張り替えやリフォームでは信頼できる業者に依頼することが大切です。
横浜で外壁の張り替えや雨漏り修理をお考えの方はエフ・エス屋根までお気軽にご相談ください。