こんにちは、横浜の屋根修理・雨漏り修理専門店、エフ・エス屋根です。
現在では金属屋根といえばガルバリウム鋼鈑が主流ですが、ひと昔前までは金属屋根といえばトタン屋根が一般的でした。屋根材のみでなく外壁材としても使用されています。
今回はこのトタン屋根の特徴や種類、メリットやデメリット、補修方法や修理費用の相場、そして長持ちさせるメンテナンス方法についてご紹介します。
トタンの屋根や外壁を使用している方は、どんな状態の時にはどんな補修が必要なのかを知り、早めの補修や適切なメンテナンスを行うことで、雨漏りなどの大きな被害を抑えることが可能です。
トタン屋根とは
トタンは1872年に初めて日本で採用されました。鉄道が全国に普及するとともに、蒸気機関車が噴き出す火の粉で沿線の住宅火災が増えたことを受けて、住宅の屋根に燃えにくいトタン屋根が広く使用されるようになりました。
トタンは軽量で安価であり、また丈夫で施工もしやすいということで全国に広まっていきます。
1923年の関東大震災後には落下したら危険な瓦よりも燃えにくく軽量なトタンに注目が集まり、爆発的に需要が増えていきます。
トタンは正式には亜鉛メッキ鋼鈑といい、薄い鋼鈑の表面を亜鉛でメッキ加工しています。亜鉛には犠牲防食という作用があり、傷ついて表面が露出した際に、イオン化しやすい亜鉛が鉄よりも先に溶け出すことで鉄の錆びを食い止めます。このため他の金属よりはさびにくくなっています。
しかし1972年により優れたさびにくく丈夫なガルバリウム鋼鈑が登場すると、トタンよりもガルバリウム鋼鈑が屋根材や外壁材の主流となっていきます。
トタン屋根の主な種類
瓦棒葺きトタン屋根
縦の方向に45cm程度の間隔で木製の桟を敷設してトタン板を敷いていく方法で施工されたトタン屋根です。
この心木となる木製の桟を「瓦棒」と呼びます。瓦棒をトタンで包む形で屋根をつないでいくため、45cm間隔で四角の盛り上がり部分ができるのが特徴です。
一寸勾配(約5.9度)という緩い勾配の屋根でも施工が可能です。
立平葺き(縦ハゼ葺き)トタン屋根
板金の重なり部分に心木を使用せずに、つなぎ目を折り曲げ加工した屋根。この折り曲げ部分を「ハゼ」と呼びます。
木の心木を使用しないため木材の腐食のデメリットがなく瓦棒葺きより防水性に優れています。
さらに0.5寸勾配(約5.9°)の屋根にも施工が可能です。
波板トタン屋根
小屋、物置から倉庫、住宅など広い範囲で使用されている波板にトタン屋根を使用している屋根です。
アーチ型に薄い板金を加工することで強度を補っています。
折板トタン屋根
倉庫や駅の自転車置き場、体育館など大きな建物で使用されている台形が連続した形の金属屋根です。
波板と同じく台形に加工することで強度を補っています。
トタンとガルバリウムの違いと見分けかた
トタンとガルバリウムは見た目がとてもよく似ているため、見た目だけで見分けることはほぼ不可能です。
違いとしては、トタンは亜鉛メッキであるのに対して、ガルバリウム鋼鈑は、アルミニウム55%とシリコン1.6%を混ぜたアルミ亜鉛メッキであるという点です。
ガルバリウムはトタンの3~6倍の錆びへの強さをもちますが、それはこのアルミニウムによるものです。
アルミニウムと亜鉛を混ぜることで、犠牲防食作用で溶けた亜鉛の部分をアルミニウムの酸化被膜によって錆の進行を止める自己修復機能があります。
ガルバリウム鋼鈑は1982年に日本で発売されたため、それ以前に建造されていればトタン屋根だと言えます。
トタン屋根のメリット
価格が安い
トタン屋根のメリットは、まず安価なことが挙げられます。そして価格の割には、当時普及していたほかの屋根材よりも耐久性が高かったことも広く普及した原因です。
軽量で耐火性が高い
トタン屋根は軽量のため屋根に負荷をかけません。屋根が軽いと地震の際の揺れを軽減し建物の耐震性が向上します。さらに金属製のため耐火性が高いという点もメリットです。
トタン屋根のデメリット
錆びやすい
トタン屋根はガルバリウム鋼鈑に比べるとさびやすいというデメリットがあります。
同じ金属屋根でも、ガルバリウム鋼鈑だけでなくさらにガルバリウム鋼板を改良したSGL鋼板などどんどん高機能な屋根材が登場し、軽くて丈夫な金属屋根と選ぶ場合、値段もガルバリウム鋼鈑とほぼ変わらないため、トタンを選ぶメリットがなくなってしまいました。
傷がつきやすく凹みやすい
トタン屋根は0.4mmという薄い屋根材です。そのため加工性が高い反面、衝撃で凹みやすく傷のつきやすい屋根材です。
傷がつくとそこから錆が発生するため傷や凹みができたら放置せずに早めに補修を行ってください。
夏場に高温になりやすい
金属屋根はチタン以外では熱伝導率が高いため、夏場に高温になりやすくなります。
ガルバリウム鋼鈑やSGL鋼鈑は遮熱塗料が表面に塗装された商品もあるため、このデメリットが解消されています。さらに最近の金属屋根は、裏に断熱材が裏打ちされている商品が増えています。
トタンの場合は、遮熱塗料を塗装し、遮熱機能をもった防水シートを使用することでこのデメリットを解消できます。
雨音が気になる
金属屋根のデメリットとして雨音が響くという点があります。
小雨ならともかくゲリラ豪雨など激しい雨の場合には雨がとてもうるさく感じるという人もいます。
断熱材が裏打ちされている金属屋根では遮音性も高められるためこのデメリットを解消できますが、トタンの場合には遮音性のあるシートを下に敷く必要があります。
トタン屋根のメンテナンスや修理方法
屋根塗装
トタン屋根は錆を防ぐために定期的に塗装でメンテナンスをする必要があります。
塗料の色あせやチョーキング現象、軽度の錆が見られた場合は塗り替えのサインです。
錆がまだ全体には広がっておらず、錆で穴が空いていないなど屋根そのものの傷みがひどくない場合に行います。
ケレンでしっかり錆びや汚れをとってさび止めの下塗り材を塗ってから塗装を行います。
錆が広がっており、穴が空いている場合や部分的に崩れているような場合には塗装だけでは修理できないため、交換が必要です。
カバー工法
現在のトタン屋根の上に新しい防水シート(ルーフィング)と新しい屋根を葺く工法です。
トタン屋根を使用している建物は、軽い屋根材を想定して設計されていることが多いため、トタンよりも重い屋根材を葺くことはできません。そのため上に敷く新しい屋根は軽量の金属屋根であることがほとんどです。
カバー工法は屋根の下の下地材が傷んでいる場合には施工できません。
屋根葺き替え工事
今のトタン屋根を解体・撤去して新しい屋根に葺き替える工事です。こちらも同様に新しい屋根には軽量な金属屋根を使用するのが一般的です。
トタン屋根を傷みがでている部分だけ葺き替えることも可能ですが、葺き替えが必要なほど錆びや傷みが進行している場合、葺き替えなかった場所に穴が空いてしまったということもあるため、慎重に屋根全体を調査する必要があります。
トタン屋根の修理費用
トタン屋根の一部分が破損や穴が空いている場合、部分的な張替えを行うことができます。
その場合の費用は、4,000円~/㎡が目安となります。
トタン屋根のカバー工法の価格は、トタン屋根にトタンでカバー工法する場合は、7,000円~/㎡、トタン屋根にガルバリウム鋼板でカバー工法する場合は、9,000円~/㎡が目安です。
またトタン屋根を葺き替える場合は、トタンへの葺き替えは9,000~12,000円/㎡、ガルバリウム鋼板への葺き替えは11,000~14,000円/㎡が相場となります。
トタンの方が工事費用が安くなりますが、トタンはさびやすいため頻繁なメンテナンスが必要です。
メンテナンスのコストや手間、耐久性を考慮すると、ガルバリウム鋼板を使用するのがおすすめです。
トタン屋根を長持ちさせるメンテナンス方法とは?
トタン屋根を長持ちさせるために重要なことは、錆をどう防ぐかということです。
錆が発生するとトタンは0.4mmの薄い屋根材のため穴が空きやすく、錆は放置しているとどんどん屋根全体へと広がってしまいます。
穴が空いてしまうと雨漏りを起こしやすくなります。
また薄い屋根材のため衝撃に弱く、飛来物で凹みや傷ができやすい点も注意が必要です。
台風の後などは凹みや傷がなどの異常がないか点検をしてください。
凹みや傷ができるとめっきが剥がれてそこからすぐに錆びてしまいます。
錆が全体に広がると落としも大変になります。錆ができてから塗装を行うよりも、錆ができるに塗装を行うのが理想であり、長持ちさせるためには重要なポイントです。
錆が全体に広がっていると小さな穴が空いている可能性がありますが、遠目からは確認しずらいため、定期的に専門業者に屋根の点検を依頼して状態を把握しておきましょう。
そして状態に応じた適切な補修を行うことが、トタン屋根を長持ちさせるためには欠かせません。
まとめ
安価で軽量、耐火性のあるトタン屋根は全国における鉄道の普及を契機として、特に高度経済成長期に広く広まりました。
軽量で耐火性が高い反面、熱伝導率が高いため夏場に暑くなりやすく、遮音性が低く雨音が気になる、そして錆びやすいためこまめなメンテナンスが欠かせないというデメリットがあります。
トタンの補修方法には、状態に合わせて、屋根塗装、カバー工法、葺き替え工事があります。
トタン屋根を長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。
点検を定期的に依頼し、錆が出てしまう前に塗装などの補修を行うことをおすすめいたします。
トタン屋根の補修や葺き替えは横浜の板金屋根業者・エフ・エス屋根にご相談ください。
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