近年屋根業界において高いシェアを占める金属屋根。
なかでもガルバリウム鋼板は、従来の屋根よりも軽量なことが注目され、耐震化に有効な屋根材としても注目されています。
耐用年数もスレートより長く、錆びにくいことも特徴です。
しかしガルバリウム鋼板はメンテナンスフリーではありません。適切なメンテナンスを行うことで屋根材を長持ちさせてることができます。
また、環境によっては錆などが発生しやすく、耐用年数を低下させてしまうことがあります。
今回はガルバリウム鋼板を長持ちさせるためのメンテナンス方法についてご紹介をいたします。
ガルバリウム鋼板屋根や外壁を長持ちさせたいとお考えの方、メンテナンス方法が知りたいという方はぜひ参考にされてみてください。
ガルバリウム鋼板の耐用年数
ガルバリウム鋼板の一般的な耐用年数は25~30年。
ガルバリウム鋼板を販売している建材メーカーの保証年数は屋根で25年、外壁で15年です。
外壁の方が劣化しやすいため保証年数が短くなっています。
ガルバリウム鋼板の劣化でもっとも大きな要因は錆です。
金属屋根として以前に主流であったトタンよりは3~6倍の錆びにくさがありますが、ガルバリウム鋼板は傷や凹みがつきやすくそこから錆が発生してしまいます。
錆を放置すると進行してやがて穴あきを起こします。
この錆のメンテナンスをしっかり行うことで40年以上の耐久性が期待できます。
また本体は長期の耐用年数がありますが、サイディングの目地を埋めるシーリングは約10年で劣化するため定期的なメンテナンスが必要です。
ガルバリウム鋼板の劣化症状
下記のような症状が現れたらメンテナンスが必要なサインです。
チョーキング
ガルバリウム鋼板は築10年後から表面の塗装に色あせなどの劣化が起こります。
チョーキングは表面の塗装の顔料が粉状に噴き出してくる現象です。指で触ってみると白い粉がつきます。
表面を覆う塗膜が劣化しているサインであり、放置すると錆につながります。
塗装によってメンテナンスを行うことで錆を防止できます。
錆の発生
ガルバリウム鋼板は新品の状態では高性能なめっきや塗料で保護されています。しかし経年による劣化や表面に凹みや傷がついたり、塩や酸が付着することで錆が発生します。
錆にはいくつか種類があります。
白錆
白錆はめっきに含まれる亜鉛成分が酸化して生じます。白い斑点のような見た目をしています。
これは鋼板を覆うめっきが劣化しているサインです。塩害地域や雨の当たらない場所などで発生しやすい錆です。
赤錆
赤錆はガルバリウム鋼板の表面に傷がつき、内部の鋼板が露出して錆が発生します。
内部の鋼板まで傷んでいる状態で放置するとどんどん広がり金属を腐食させていきます。やがて穴あきなどを生じて雨漏りリスクが高まります。早急に塗装によるメンテナンスを検討してください。
もらい錆び
ガルバリウム鋼板そのものに錆が発生していなくても、錆が発生している別の金属と触れることで錆が発生することがあります。
他の金属の錆をもらってしまうような状態のため、これを「もらい錆び」といいます。
錆びた他の金属が触れないように気を付けましょう。
苔の発生
ガルバリウム鋼板製の屋根で、日当たりの悪く勾配が緩い環境には苔が発生します。
苔が水分を蓄えて水が溜まりやすくなり、ガルバリウム鋼板が常に水分に晒される環境となるため、錆の発生につながります。
早めに水洗いなどで苔を取り除いたあと、塗装によるメンテナンスをご検討ください。
シーリングの劣化
ガルバリウム鋼板を使用した金属サイディングの目地や、サッシとの隙間、屋根材同士の隙間などを埋めるのがシーリングです。
このシーリングは隙間を充填するゴムのような素材で、隙間から水が入らない役目を果たしています。
しかしシーリングで紫外線で劣化しやすく、約10年程度でやせたりひび割れがはいるなどの症状が現れます。
シーリングが劣化すると隙間から雨が入り込み、雨漏りの原因となるため劣化症状が見られたらシーリングの補修工事を検討してください。
ガルバリウム鋼板を長持ちさせるために必要なメンテナンス
ガルバリウム鋼板は長持ちする素材として売り出されていますがメンテナンスフリーなわけではありません。
なにもメンテナンスを行わないと錆が発生して劣化していきます。
ガルバリウム鋼板のメンテナンスとして、業者による定期点検や、水洗いなどクリーニングによるメンテナンス、そして修繕によるメンテナンスがあります。
水洗いによるメンテナンス
錆が大敵なのに水をかけてもいいの?と思われるかもしれませんが、ガルバリウム鋼板は表面に塩分や埃などが付着したままになっているとシミや錆が発生しやすくなります。
雨が定期的にあたるところよりも、雨がかからないところの方が錆びやすいのです。
そのため定期的にガルバリウム鋼板の外壁や屋根を水洗いすることで、表面に付着した塩や埃、酸を起こすことで錆から守ることができます。
外壁は特に雨のかからない場所をしっかり洗い流すことで錆などの劣化を防げます。
また鳥などの小動物の糞が付着するとそれも腐食の原因となるため放置せずに洗い流してください。他にも鋼板の切粉や切りくず、釘などを放置することも錆につながります。
ただし屋根や二階以上の外壁の水洗いは高所作業となり危険がともなうため、業者に依頼されることをお薦めします。
シーリング工事・部分補修
場合によっては部分補修で対応できる場合もあります。
他にも劣化したシーリングに対しては、古いシーリングを撤去して、新しくシーリングを充填する打ち替え工事などを行います。
塗り替え
ガルバリウム鋼板は劣化すると錆の他にチョーキング現象や苔などが発生します。
こうした現象が発生している場合には塗り替えによるメンテナンスが必要です。
錆が発生している時には表面の塗装だけではなく、ガルバリウム鋼板を覆うメッキ層が劣化してきているため早めのメンテナンスが必要です。
塗装の際には錆を落として錆止めを塗布してから上塗りを行います。
カバー工法
ガルバリウム鋼板が全体に錆が進行している場合や雨漏りを起こしていて塗装では対応できない場合にはカバー工法によるメンテナンスを行います。
既存の屋根の野地板や外壁の内部が腐食を起こしていない場合に可能です。
屋根の場合は、屋根の形によってそのまま上から防水シートと新しい屋根材をかぶせるか、上から新しい野地板を施工してから防水シートと屋根材を重ね葺きするかが異なります。
外壁の場合にも今ある外壁材を解体せずに上から被せる外壁カバー工法が選択できます。断熱性と遮音性が向上し、工期が比較的短いのが利点です。
葺き替え・張り替え
ガルバリウム鋼板の劣化がひどく、下地の野地板や内部まで腐食を起こしている場合には屋根の葺き替えや外壁の張り替えを行います。
屋根の場合には、野地板が腐食が疑われる場合には野地板の状態を点検して、補修をする必要があります。
既存のガルバリウム鋼板を剥がして野地板をチェックし、増し貼りや張り替えを行った上で新しい屋根材を施工します。
外壁の場合にも下地材の状態を点検して必要な補修を行った上で上から新しい外壁材を施工します。
まとめ
高い耐久性と軽量さが注目されるガルバリウム鋼板ですが、メンテナンスフリーではありません。
適切なメンテナンスを行うことで長持ちさせることができます。
ここ横浜でも特に塩害地域にお住まいの方は塩分や埃などが付着したままにならないように定期的な水洗いが重要です。
他にも劣化の状態によって塗装によるメンテナンスで錆を食い止め、錆が進行しているような場合には状況に応じてカバー工法や葺き替えを行います。
屋根はなかなか目につかないため、10年一度は定期的な点検を受けることをおすすめします。
ガルバリウム鋼板のことなら専門職人である板金工のいる福田総業にお任せ下さい。