普段は気に留めることの少ない雨樋ですが、屋根に降った雨を適切に排水し、外壁に直接雨が流れることを防ぐことで建物を雨から守っています。
雨は建物にとって天敵です。いかに雨を防ぎ、そして適切に排水するかが雨から建物を守るための重要事項となります。
ここ横浜でもゲリラ豪雨が増えています。神奈川県はなんと昨夏の2.4倍だとか。
以前雨樋の役割とメンテナンス方法についてご紹介しましたが、今日は雨樋の種類についてご紹介します。一口に雨樋といっても素材や流水量、形状など色々な種類があります。雨樋を交換される際にどんな雨樋がいいのか雨樋選びの参考にされてみてください。
雨樋の形状
雨樋には、丸型、角型、リバーシブル型、特殊型の4つの形状があります。
丸型
丸型は断面が半円形になっており、半月型と言われることもあります。
最も一般的なタイプで、流通量も多く、カラーバリエーションも豊富です。
価格も安価で築20年以上の住宅のほとんどで使用されています。
角型
断面が四角形になっているタイプです。丸型よりも一度に排水できる水の量が多いことが特徴です。
雨の多い地域などでよく使用されており、最近ではゲリラ豪雨により短時間で大量の雨が多く降ることが増えていることから、新築住宅で採用されることも多くなっています。
丸型よりも価格は高めになります。
特殊型
雨樋に覆いがついており、雪かきの際に雪が雨樋にひっかかったり、集水器の中に雪が詰まったりすることを防いでいます。東北地方や北海道など積雪の多い地域で使用されています。
複雑な形状のため価格は高価な傾向にあります。
雨樋の素材
高価で長持ちする銅製の雨どいは昔から神社仏閣で使用されていましたが、一般の住宅に普及したのは江戸時代以降です。最初は木や竹などの自然素材のものが使用されていました。
明治時代になって文明開化とともにブリキやトタンを材料した雨どいが登場し、第二次世界大戦以降にはプラスチックが普及して現在の雨どいに近いものが登場します。
雨樋の素材として現在主に使用されているのは、塩化ビニール、ガルバリウム鋼鈑、銅、アルミニウム、ステンレスの5種類です。
塩化ビニール
最も一般的な雨樋の素材です。
塩化ビニールは合成樹脂の一種で、日本では1941年に初めて工業化され、工業製品だけでなく文房具や靴など身の回りの様々なものに使用されています。雨樋では「硬質塩化ビニル」を用いています。
メリットは安価で取り扱いしやすく価格も手ごろなことでさらに種類が豊富です。さらに塩化ビニルは燃えにくい難燃性であることも特徴です。
しかし紫外線によって変形などの劣化を起こしやく、ほかの素材に比べて耐久性が低い点がデメリットです。
銅
銅製の雨樋は、昔から神社仏閣などで使用されてきました。
一般の住宅に普及したのは、江戸時代以降のことです。
銅は、一番最初に施工したときは鮮やかな赤橙色で、銅が空気や水に触れて酸化することで年月とともに赤橙色から褐色→暗褐色→黒褐色→青緑色へと変化して落ち着きと風格がでます。
緑青は銅が酸化することで発生する錆びの一種です。この緑青が被膜となって銅の内部の腐食を防いで保護してくれるため、耐久性が高く、意匠性の高い雨どいです。
しかし酸性雨によって穴が空いてしまうことがあるという点と、価格が高価であるという点がデメリットとして挙げられます。
ガルバリウム鋼鈑
金属屋根材や外壁材として人気のあるガルバリウムを雨樋に使用しています。
ガルバリウム鋼板は薄い鋼鈑にアルミと亜鉛でメッキを施すことで、トタンの約3~6倍の耐食性を持つ高耐久の素材です。ガルバリウム鋼鈑は1982年に日本で初めて商品化された比較的新しい素材です。
ガルバリウム鋼板製の雨樋のメリットは、なんといって耐久性が高いことと、屋根や外壁にガルバリウム鋼鈑を使用している場合には建物に統一感を出すこともできます。
デメリットは、金属製の雨樋の中では比較的手ごろな価格と言えますが、雨樋として高価なことがあげられます。そのためそこまで広く普及していません。
アルミニウム
アルミニウムは一般的な素材でアルミホイルから非常に多くのものに使用されています。
アルミニウムにはさびに強く、熱の影響を受けないという特徴があります。樹脂よりも熱膨張率が低く、熱による伸縮率も樹脂の約1/3となっており、耐久性の高さも魅力です。
シームレスに仕上がるため見た目がスタイリッシュになります。しかしまだ雨樋としては流通量が少なく、高価なことがデメリットです。
ステンレス
ステンレスは英語でstainless steelといい、錆びに強いことが特徴です。
ステンレスは鉄を主成分として、クロムを10.5%以上含む錆に強い合金を指します。
メリットは耐久性の高さと、ステンレス特有の見た目のスタイリッシュさが魅力です。
価格はアルミニウムよりは安いですが、アルミニウムと同じく流通量は多くありません。
素材ごとの比較
塩ビ製 | ガルバリウム鋼板 | 銅製 | アルミニウム・ステンレス | |
---|---|---|---|---|
価格 | ◎ 安い | △ 比較的安い | ✕ 高額 | ✕ 高額 |
耐久性 | △ 劣化しやすい | 〇 錆びにくいが錆びることもある | 〇 穴が空くことがある | ◎ 劣化に強い |
意匠性 | 〇 価格なりだがデザイン豊富 | 〇 ガルバリウム屋根と合わせるとさらに良い | ◎ 緑青の風格が楽しめる | ◎ スタイリッシュ |
その他
最近では、様々な新しい雨樋の開発が進んでいます。
例えば塩ビ製の雨樋を強化した、Panasonicが独自開発した「アイアン」という雨樋も発売されています。
「アイアン」は亜鉛処理のスチール芯を硬質塩化ビニル樹脂の中に入れ込んで一体化することで、紫外線に弱いなどの塩ビ製の弱点を改良しており、耐久性が向上しています。
まとめ
今回は色々な雨樋の種類についてご紹介しました。
降水量や積雪量などの風土や気候に応じたものや、耐久性と価格のバランスでご自宅に合ったものを選びましょう。
しかしどんな丈夫な雨樋も放置していると、破損やゴミや落ち葉が詰まるなど不具合を見逃してしまうことにつながります。
雨樋はご自宅を雨漏りから守る大切な役割をしています。
点検やメンテナンスを定期的に行うことが長く機能するために重要です。
横浜での雨樋の補修や修理は、自社施工・屋根専門店の福田総業にお任せください。
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