屋根の漆喰とは?補修方法やメンテナンス・費用相場を解説

2022/08/23

漆喰は消石灰(水酸化カルシウム)を主成分とした大変古い歴史のある塗り材です。

この漆喰は屋根にも使用されており、瓦屋根の棟瓦などを固定して雨水を防いでいます。
瓦屋根は大変丈夫な素材ですが漆喰は定期的なメンテナンスが必要です。
今回はこの屋根の漆喰の役割や補修方法についてご紹介いたします。
ご自宅が瓦屋根という方はぜひ参考にされてみてください。

漆喰とは

漆喰とは

漆喰は石灰を主成分として、地域によって気候や風土に合わせた成分比率で用いられていました。5000年以上前から世界各地の建築物で使用され、日本でも姫路城など伝統的な家屋などで使用されています。

現在では、屋根工事の際には、通常の漆喰に代わって南蛮漆喰という石灰に油脂や粘土、土を混ぜたものが使用されます。
南蛮漆喰は通常の漆喰よりも防水性や耐久性に優れており、新築の場合には南蛮漆喰が使用されます。

屋根の漆喰の使用箇所

漆喰と聞くと、自然素材として壁面に用いられているイメージがありますが、実は屋根にも使用されています。
使われているのは瓦屋根の、主に棟瓦部分。
棟瓦は、屋根のてっぺんにあり、二つの屋根が山形に接する頂点にあります。
屋根と屋根が接する部分を保護し、雨が侵入しないよう被せるように棟瓦を葺きます。

棟瓦の構造

棟瓦は、漆喰を土台として、下から順番に台熨斗瓦(だいのしがわら)、熨斗瓦(のしがわら)、冠瓦(かんむりがわら)の順でつみ重ねていきます。
このように瓦を積んで施工するため、棟を工事することを「棟を積む」ということもあります。
棟は瓦屋根を印象づける要素であり、昔はこの棟瓦が高いほど格式が高いとされていました。
現在はだんだんと簡略化されてきましたが、今でも寺院などでは大変立派な棟瓦を見ることができます。

棟瓦の葺き方

棟瓦の葺き方には湿式工法と乾式工法の二種類があります。
古くから行われている湿式工法では、漆喰と葺き土という土を使用して棟瓦を固定していきます。
漆喰は土台として、そしてこの中の葺き土を保護するために、平瓦と棟瓦が接する取り合い部分に施工されます。
現在では新築の際には、南蛮漆喰が通常の漆喰の箇所以外に葺き土の代わりとしても使われています。

屋根の漆喰の役割

棟瓦の漆喰は、雨が屋根の内部に入らないようする重要な役割を持っています。
しかしきちんとメンテナンスをすれば50~60年は持つ瓦よりも漆喰の耐久性は低く、約20年ほどで劣化して朽ちたり剥がれたりしてきます。
直射日光や寒暖の差、雨風に長期間晒される、強風や地震によることによって建物や屋根が動くことによるずれなど様々な要因によって徐々に劣化は進行します。

漆喰が剥がれてしまうと、そこから雨水が侵入し、内部の葺き土に水が浸透して棟全体が被害を受けることもあります。
古い漆喰の場合は土台として使用されているためこの土台が崩れてしまうと、最悪の場合棟が崩れたり、大きな劣化につながってしまいます。

他にも棟の中が雨水に浸食されてしまうと、瓦の下部にある防水シートの下にまで水が浸透する危険性があります。防水シートは水を防ぐ最後の砦なのでここを突破されてしまうと雨漏りが発生してしまいます。
瓦屋根で雨漏りが発生した場合、漆喰の劣化が原因ということもよくあります。

屋根の漆喰のメンテナンスと補修

もしも雨漏りが発生すると大きな工事が必要となってしまいます。
漆喰を含む屋根の定期的なメンテナンスを受けることでそのような事態を回避できます。
屋根の漆喰のメンテナンス方法には大きく分けて二つの方法があります。

漆喰詰め直し工事

漆喰が一部分のみ劣化や崩れ、剥がれを起こしている場合には、該当箇所の漆喰の詰め直し工事を行います。
古くなった漆喰を除去して、新しい漆喰を詰め直します。
漆喰は屋根の中でも白く、目立つ箇所であり、また瓦屋根の美しさを見せる場所でもあるため、細かく隙間なく、そしてある程度の厚さを盛りながら仕上げていくのは職人の腕が試される工事でもあります。

修繕工事の際に、漆喰のみ塗り直す場合に葺き土が使用されている場合には、通常の漆喰を使用します。
南蛮漆喰は土との粘着性があまり高くないので、剥がれてくる可能性があるためです。

棟瓦取り直し工事

漆喰の劣化が棟全体に及んでいて瓦がずれているような場合には、いったん棟を取り外して漆喰を詰め直す、棟瓦取り直し工事を行います。
まず既存の漆喰と棟瓦を一旦すべて撤去して、葺き土やのし瓦も取り除きます。
この瓦にひびや破損がなければ再利用できます。
南蛮漆喰で土台を作って、再度のし瓦や冠瓦を積み直して完成です。

火災保険が適用されることも

漆喰が台風などの自然災害によって破損などの被害が受けた場合には、火災保険が適用されるケースもあります。
経年劣化による破損には適用されないのでご注意ください。

下記の施工事例では、台風の暴風によって被害を受けたため火災保険の保証対象となり漆喰工事を行いました。

屋根の漆喰補修の費用相場

瓦屋根における漆喰補修の費用相場は、工事ごとに分けると下記のようになります。

工事内容 修理費用の目安
漆喰の部分的な補修 約5〜10万円
漆喰詰め直し工事 約15〜20万円
棟瓦積み直し工事 約35〜50万円

この金額に足場代がかかってきます。
漆喰工事の費用は、施工する範囲や、施工箇所・屋根の状態によって変動するためあくまでも目安として参考にしてください。

瓦屋根の漆喰補修の施工事例

漆喰補修の施工事例をご紹介します。

台風で破損した漆喰を火災保険を適用して補修

漆喰補修施工前漆喰補修施工後
現場住所 横浜市磯子区
施工内容 瓦漆喰修理・雪止め工事

耐風の暴風によって棟がずれて漆喰が破損してしまったため、火災保険を活用して補修工事を行いました。ずれた瓦を直したうえで、古い漆喰を撤去して新しく漆喰の詰め直しを行っています。
暴風によって生じた隙間もなくなり、棟を安定して固定できるようになりました。お客様のご要望で雪止めも設置しています。

まとめ

屋根の漆喰は雨の侵入を防ぐ重要な役割を担っています。
しかし漆喰は瓦よりも劣化が早いため定期的なメンテナンスと補修が必要です。あまり目につかない箇所にあるため、気が付かないうちに漆喰が劣化していたということはよくあります。
漆喰の補修方法は、漆喰や棟瓦の傷みの程度によって異なり、漆喰詰め直し工事や棟瓦取り直し工事など劣化に応じて必要な工事を行います。
劣化が軽いうちの方が工事費用も安く抑えられます。

瓦屋根は屋根材そのものが劣化することは少なく、漆喰などを定期的に補修をすれば50年以上持つ非常に耐久性の高い屋根材です。
横浜市で屋根の漆喰の補修は福田総業にお任せください。

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