スレート屋根の外壁塗装の見積書にタスペーサーという見慣れない単語があって気になるかもしれませんが、スレート屋根の塗装には欠かせないものです。
スレート屋根の屋根塗装には、縁切りという作業が重要であり、この縁切り作業に必要となるのがタスペーサーです。
今回はこの「タスペーサー」について、役割や種類・相場、不要なケースなどをご紹介します。
縁切りに欠かせない「タスペーサー」とは?
「タスペーサー」は屋根の縁切り作業に使用されるポリカーボネイト製の小さな器具です。
スレート屋根の塗装を行う際に、塗料によって屋根の隙間が塞がれることを防ぐために使用されます。
屋根の隙間が必要なのか?と思われるかもしれませんが、わずかな隙間から水が入り込んだ際に隙間がないと水の逃げ場がなくなり、屋根の内部で結露を起こしたり、防水シートの釘穴を伝って下地の腐食や雨漏りを起こしてしまいます。
タスペーサーを塗装前に屋根材の下に挿入することで、屋根に適切な隙間を確保し、水の排水路と通気性が確保できます。
縁切りについて詳しくは下記をご覧ください。
縁切り作業は従来はカッターを使って手作業で行っていましたが、塗装した後に登って作業するため塗装を傷つけてしまう不安や、作業の効率が悪いという点から大変な作業でした。しかしタスペーサーを使用すれば、塗装の際にあらかじめ器具を挿入しておくことで自動で隙間ができます。
タスペーサーは株式会社セイムが約20年前に開発・販売した特許製品で、現在ではスレートの屋根塗装に欠かせない器具となっています。
タスペーサーの種類~01型と02型の違いは?
タスペーサーには全部で01型、02型、03型の三つがあります。
このうち03型は生産終了しており廃盤となっています。
タスペーサー01型
画像出典:株式会社セイム
2017年に発売された後続・改良品です。名前からしてこちらが旧製品のように思いがちですが、02型の方が先行商品で、02・03を改良したのが01型です。
タスペーサー01型は緩衝性、通気性に優れています。さらに従来の02型が下塗りの後に使用していたの対し、01型は耐溶剤性に優れているため、下塗りの前、つまり高圧洗浄の後に使用することができます。
さらに反り部が改良されたことによって、塗料の重みで下がった屋根材を押し上げる力が強く、約3mmの隙間を確保することができます。
タスペーサー02型
画像出典:株式会社セイム
前述のように、01型よりも先に販売されていた従来品が02型です。
01型よりも反り部分の面積が小さいため、屋根を押し上げる力が01型よりも弱く、約2mmの隙間を作ります。
タスペーサーの取り付け方法
屋根塗装は、高圧洗浄、シーラー(下塗り)、中塗り、上塗りの工程で行います。
従来の手作業は、上塗りの後に行っていました。
タスペーサー02は高圧洗浄の後、タスペーサー01はシーラー(下塗り)の後に施工します。
シーラーには溶剤性が強いものが多いため、耐溶剤性の高くない02は溶剤で溶ける危険性があり、下塗りを塗装した後に使用する必要があります。
この下塗り段階で隙間が埋まってしまうとまた縁切りをしないといけないため二度手間になってしまうことがあります。
屋根材の幅によって取り付け方が変わります。
シングル工法
スレート屋根材が屋根幅約600mmの場合、左右どちらか片側から10~15cmのところに一か所挿入します。
ダブル工法
屋根幅約910mmの場合は、左右15cmのところに二か所挿入します。
タスペーサーの費用相場について
タスペーサーの費用相場は、㎡あたり300円~500円程度となっています。
タスペーサーは㎡あたり約10個前後使用する計算となり、平均的な戸建ての住宅の場合では700個~1,000個前後のタスペーサーを使用します。トータルの費用相場は約3〜5万円程度です。
タスペーサー01の方が02よりも高価になりますが、それほど大きな差はありません。
タスペーサーが必要ないケース
スレート屋根の屋根塗装において縁切りは欠かせない作業ですが、以下のような場合には縁切り作業は不要です。
・屋根の隙間が4mm以上ある場合
・元々タスペーサーが施工されている場合
まとめ
スレート屋根の屋根塗装を行う際に縁切りを効率的に行うために使用されるのがタスペーサーです。
縁切りを行わないと内部結露や雨漏りを起こすため、非常に重要な工程です。
タスペーサーには従来の02型と改良した01型があります。
01型の方が価格が若干高いですが、より隙間を確保することができます。
タスペーサーの費用相場は約3〜5万円程度です。
知識のない業者に依頼するとタスペーサーを使用しなかったり、正しく取り付けてもらえないことがあります。
雨漏りを防ぐためも、タスペーサーについて知識を深めて正しい屋根塗装を行う業者を見極めてください。
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