全国で空き家が増加傾向にあります。
ここ20年で1.8倍に増え、ここ横浜市でも平成25年度の統計でも市内で約17万8050戸とされています。
空き家増加の原因はやはり少子高齢化による人口の減少や、高齢者の方が施設に入居されたあと家の引き取り手いないということなどがあげられます。
さらに空き家の状態でも土地に家が建っていれば固定資産税が6分の一に軽減される、住宅用地の特例措置による税制優遇も空き家が放置されている大きな原因となっています。
相続したものの遠方に住んでいてなかなか訪問できない、解体に費用がかかるとの理由で放置されている方もおられることでしょう。
しかしそうして放置された空き家は当然ひとが住んでいる家よりも雨漏りのリスクが高くなります。
こちらでは空き家の雨漏りを放置するリスクや対策方法についてご紹介します。
参考:「都市部の社会課題解決に向けた空き店舗・空き家の社会目的利用を基軸とする地域経済活性化モデルの創出」(経済産業省)
空き家の雨漏り発生理由は?
人が住んでいる家でも定期的にメンテナンスを行わないと家は傷んでしまいます。
そのため誰も住んでいない家は急速に劣化します。
雨漏りは屋根から発生するイメージがありますが、ベランダやサッシの隙間、外壁のコーキングの隙間など多くの発生箇所があります。
屋根がずれた、ひび割れた、サッシや外壁の隙間を埋めるコーキングが劣化した、ベランダの笠木が劣化したなど、放置された家の経年劣化によって最初は小さな傷みだったものからやがて雨漏りへと発展していきます。
こうした不具合は人が居住していれば気が付くことができますが、空き家でもしも遠方に住まわれていた場合にはなかなか気づくことができません。
気づいた時には雨漏りを起こしていたというケースも大変多くなっています。
空き家の雨漏りを放置するリスクは?
柱や梁などの腐朽
雨漏りにより木材が湿ると家を支える梁や柱などの構造材が腐食してしまいます。
木材が腐るのは、木材腐朽菌が繁殖するためで、この菌は湿度が高く、木材が水を含んでいて温度が高いところで活発になるためずっと雨漏りで木材が湿っていると恰好の餌食になってしまいます。
しかも人が住まない家は換気もされないため風通しも悪く劣化のスピードが早まり、構造材や基礎が腐食するとやがて家が倒壊する危険もあります。
コンクリート造の空き家の場合も、壁や屋根のひび割れなどによって雨水が侵入し、内部の鉄筋や鉄骨を錆びさせて劣化されてしまいます。
カビの発生
雨漏りが発生すると、クロスや柱や梁などの構造材まで雨水によって濡れてしまいます。
カビは適度な温度、埃、チリ栄養分、水分や湿気があると繁殖するため、放置された空き家で雨漏りが発生するとカビが発生するには適切な条件が整っているといえます。
締め切っていると通気性も低下するため、なかなか空き家に立ち寄らず、気が付いた時にはカビだらけになっていたということもあります。
衛生的にもよくないため定期的に掃除や換気を行うようにしましょう。
シロアリなど害虫の発生
雨漏りは建物の内部に水が侵入することです。すると木造住宅を構成する柱や梁が水にぬれることで柔らかくなってしまいます。
柔らかく湿った木材はシロアリの好物であり、最近よくみられる高断熱高気密の家の場合にはさらに温度や湿度が快適に保たれておりシロアリが繁殖しやすくなります。
基礎部分までシロアリ被害が進むと倒壊の恐れや、その修繕費用は莫大なものになってしまいます。
また雨漏りで湿気が増えるとダニやゴキブリなどの害虫も繁殖しやすくなります。
漏電による火災のリスク
雨漏りが発生することで火災のリスクがあるとは驚かれるかもしれません。
漏電はその24%が雨漏りによるものというデータがあります。雨漏りによって建物に侵入した水分が電気配線や、コードなどの絶縁体の隙間に入りこんでしまうことによって電気が正常に流れなくなり外に漏れることで漏電が起こります。
住宅には漏電が起こった際にそれを感知してブレーカーそのものを落として火災から守る、漏電ブレーカーが設置されています。
しかし空き家の中には漏電ブレーカーが設置されていなかったり、配線が損傷して漏電防止機能が正常に機能していない場合もあります。そのような場合は火事になりやすいため特に注意が必要です。
空き家が倒壊するだけではなく火事になってしまうと近隣住宅にも被害がおよび、過失が所有者にあるとされたら高額な賠償金が発生することも想定されます。
「特定空き家」に認定されると固定資産税に影響も
2015年5月から、増え続ける空き家対策の一貫として、自治体から放置しておくと危険になるあるいは衛生上問題があると判断された空き家は、「特定空き家」と認定されることになりました。この「特定空き家」に認定されてしまうとこれまで受けられていた税の優遇措置がなくなってしまいます。
「特定空き家」の例
・ゴミが放置されている、汚物が流出しているなど衛生上有害である恐れのある空き家
・屋根が外壁の倒壊や建物の倒壊など保安上の危険がある空き家
・動物が住みついて糞尿の被害があるなど周辺の住民の生活環境の妨げになっている空き家
・窓ガラスが割れたままになっている落書きが放置されているなど景観計画に著しくそぐわない空き家
雨漏りが起こって著しく建物が劣化した場合、倒壊の恐れがあると判断されると、「特定空き家」に認定されて税制優遇が受けられず、固定資産税が最大6倍になる恐れがあります。
参考URL:特定空家とは(NPO法人 空家・空地管理センター)
空き家の雨漏りの対処方法
すでに空き家で雨漏りが発生している場合、まずは応急処置を行ってください。
雨漏り箇所が特定できる場合は、原因となっているひび割れなどを防水テープを使って塞ぐことで対処ができます。
もしも特定できない場合や、広範囲にわたって雨漏りが発生している時にはビニールシートで覆うなどの処置を行い、これ以上拡大しないように手を打ってから専門の業者に相談してください。
屋根に登っての作業は大変危険なため、できれば専門業者に任せることをおすすめいたします。
雨漏りは場所を特定するのが難しく、被害範囲を特定し確実に修理を行うためにも、雨漏り修理は専門業者に依頼すると確実です。
空き家の雨漏りを防ぐには?
やはり定期的に様子を見に行き、壁や天井のしみがないか、外壁のひび割れや屋根の剥落などがないか、カビが生えていないかなどを確認しましょう。
空き家といえども放置せずに、定期的に専門の業者の点検を受けておくと安心です。
なにもせずに放置すると確実に傷んでいきます。税制優遇を受けるためにもそして大切な資産の価値を損ねないように定期的にメンテナンスを行ってください。
まとめ
人が住んでいない空き家は、雨漏りに気が付きにくく、気が付いた時は家屋に大きなダメージを与えていることがあります。
空き家で雨漏りが発生すると、柱や梁などの腐朽、カビの発生、シロアリなど害虫の発生、漏電による火災など様々なリスクが存在します。
もしも危険性があるなどの理由で「特定空き家」に認定されてしまうと、これまで通りの税制優遇が受けられず、固定資産税が高額になってしまう恐れもあるため、普段から定期的に点検などのメンテナンスを受けておくことが肝心です。
横浜市で空き家や家の屋根などの定期点検、雨漏り修理は専門店の福田総業にお任せ下さい。