コロニアル(スレート)屋根の塗装を行う際に見積もりに「縁切り」や「タスペーサー」という単語が入っていて不思議に思われた方もおられるかもしれません。また塗装業者によっては「縁切り」なんて不要であるという人もいます。
今回はなぜこの「縁切り」や「タスペーサー」が必要なのか?もしも「縁切り」や「タスペーサー」を行わないとどうなるのか?ということを実際の事例をふまえてご紹介いたします。
そしてそトラブルを防ぐために、コロニアル屋根の縁切り作業を正しく行う業者の見つけ方などもご紹介いたします。
目次
なぜ「縁切り」や「タスペーサー」が必要なのか?
コロニアル屋根にはもともと隙間があり、湿気を逃がして入り込んだ雨水が排水されるように設計されています。
この隙間を塗装で埋めてしまうと、湿気や雨水の出口がなくなってしまい、中にこもった水が防水シートの劣化を早めたり、木材を腐食させたり、ひいては雨漏りを発生させたりします。
塗料が隙間を埋めないように行う作業が「縁切り」といい、今はタスペーサーという部材を隙間に挟むことで隙間を設けることができます。
タスペーサーの役割や縁切りの種類について詳しくは下記をご覧ください。
「縁切り」をしないとどうなるのか?
雨漏りが発生してしまう
縁切り作業を行わないことによる一番大きな問題は雨漏りの発生です。
タスペーサーを挿入することで、雨水が排出される隙間を作りますが、この隙間がないと内部の水の逃げ場所がなくなり、隙間が狭いと毛細管現象によってさらに水を吸い込んでしまいます。

こうして逃げ場のない水はコロニアルを固定している釘を伝って下にある防水シートの劣化を早めたり、またさらにその下の野地板にまで到達すると野地板を腐食させてやがて雨漏りを起こします。
野地板が腐食して雨漏りが発生すると屋根の葺き替え工事が必要になります。
事例:横浜市栄区にて縁切り不足による雨漏り修理〈アスベスト含有スレートの葺き替え工事〉
こちらのお客様は二階和室やトイレで雨漏りを発見され、知り合いの塗装業者に依頼したが直らないとのことでご依頼をいただきました。
調査したところ、15年前に塗装された際に縁切りが行われていなかったことが原因で逃げ場を失った雨水が建物に入り込んで雨漏りを起こしていました。

屋根からの雨水によって二回の和室とトイレが雨漏りを起こしています。

前に依頼された塗装屋さんによるものと思われるコーキングの補修がみられましたが、原因を特定せずに行ったコーキングでは雨漏りは解決できないばかりか悪化させることがあるため要注意です。

屋根材を撤去すると内側に浸み込んだ水が溜まっており、屋根材を固定する釘も錆びていました。
そして下のルーフィングにまで水が入って劣化が進行していました。


劣化した野地板の補強のために、構造用合板を増し貼りし、ルーフィングを施工し、新しい屋根材を葺いて完工です。
劣化していた屋根が刷新され、雨漏りも止まりました。
湿気や結露がこもって野地板が腐食する
屋根材が塗料でふさがれてしまうと、内部の湿気の逃げ道もなくなってしまいます。
屋根の内部に湿気がこもってしまうと、結露を起こして下地材が腐食を起こします。
野地板が腐食してしまうと、屋根を支える力が弱くなるため、野地板の張替えや張り増しが必要になります。
事例:横浜市港南区にて縁切り不足により下地が腐食したアスベスト含有カラーベスト葺き替え
こちらの現場では、6年ほど前の塗装工事の際にタスペーサーを入れなかったことが原因で、野地板が腐食を起こしてしまい、葺き替え工事を行いました。
縁切りされていないことが原因で、本来なら屋根の隙間が空いているはずの箇所が塗料によって塞がれて、行き場をなくした水が染み出しています。

屋根を歩くとフカフカになっているため、屋根の状態から野地板の腐食が想定されました。
屋根の下地まで腐食している場合には、カバー工法ではなく葺き替えが必要となります。

コロニアルの重なり部分に水が溜まり、天気は晴れているにも関わらず水が逃げずに残ってしまっています。
釘穴付近も濡れた痕跡があり汚れなども溜まっている状態です。
その結果、中で常に湿気や結露が発生しており更に釘穴から水が入って野地板を腐らせていました。
湿気が外に逃げないので室内の壁やクロスも割れや剥がれが多数ある状態でした。

野地板を増し張りし、横暖ルーフを施工して完工です。
野地板まで腐食を起こしていると、カバー工法が行えないため葺き替え工事しか選択肢がありません。こちらの屋根はアスベスト含有のコロニアル屋根だったため、アスベスト処分費用もかかり、工事もその分高額になりました。
コロニアル屋根の縁切り作業を行わない業者に注意!
弊社が現地調査にうかがうと、結構な頻度でこうした縁切りが行われていない現場に当たることがあります。
お客様にお話を聞いてみると、訪問業者や安さを売りにした工事店に依頼したというケースが多く見られました。
こうした訪問業者や安さを売りにした工事店は、とにかく工事の契約さえとれればいいというところが多く、工事の内容に手抜きがあったり、タスペーサーを用いた縁切りという必要な工程が省かれていることがあります。
少しでも工事を安く上げたいという気持ちにつけこんで、安い見積もりを提示してきますが、野地板の腐食や雨漏りを起こしてしまうと塗装よりも高額な修理費用がかかってしまいます。
こうした被害にあわないために、しっかりと塗装をしてくれる業者を選びましょう。
コロニアル屋根の縁切り作業を正しく行う業者の見つけ方
コロニアル屋根の塗装の際に縁切りを行わないと、雨漏りや結露によって野地板が腐食してしまうトラブルが発生してしまいます。
そのようなトラブルを避けるために、縁切り作業を正しく行う業者を見つけて依頼しましょう。
見積もりの項目をチェックする
コロニアル屋根の塗装を依頼する際には、見積書の中に「縁切り」や「タスペーサー」という項目があるかどうかを確認してください。
もしも項目がない場合には業者に確認してみましょう。
年配の職人の中には縁切りなんて必要ないという方もおられます。そういった考え方の親方に教わった職人もやはり同じ考え方になってしまうのが実情です。
また勉強や経験が足りないために縁切りが必要ないという人もいます。
しかしこれまで実際に何百件も、縁切りを行わないために腐食や雨漏りを起こしている現場を見た経験からすると、確実に縁切りをしてくれる業者に依頼した方が安心です。
相見積もりを依頼する
一社の見積もりに納得できない場合には、セカンドオピニオンを兼ねて別の会社にも見積もりや現地調査を依頼してみましょう。
業者の意見や見積書の内容を比較することで工事に対する意見や、工事の内容に対する相場を知ることができます。
比較して検討した上で、納得のいく業者を選びましょう。
あまり安すぎる業者も注意が必要です。安さを売りにした業者は手抜き工事をして費用を安くあげるところがあります。
訪問会社に注意
最近ここ横浜や神奈川にて訪問業者に屋根のことを指摘されてそのまま契約をしてしまい、高額な工事や手抜き工事をされてしまったという被害が報告されています。
弊社にもよくそのようなご相談をいただきます。
すべての訪問業者が悪質であるとは限りませんが、訪問業者とはその場で契約をせずに複数の見積もりをとるなど、比較して検討されることをおすすめします。
今すぐ修理しないと雨漏りする、火災保険を使って無料で修理できるなど、不安を煽ったり、甘い言葉で契約を迫る業者には特に注意が必要です。
名刺や資料だけもらってネットで検索し、どのような実績があるか調べてみるのも判断基準となります。
まとめ
タスペーサーを使ったコロニアル屋根への縁切りは、屋根の通気性確保や、侵入した雨水の適切な排出口の確保のためには欠かせない作業です。
コロニアル屋根に縁切り作業を行わないことで、雨漏りや野地板の腐食が発生してしまいます。
弊社がこれまでうかがった現場の中でも実際に縁切りをしていないことによる雨漏りや野地板の腐食が非常に多くみられました。
縁切り作業を正しく行う会社を見つけるには、見積もり内容の確認や相見積もりを依頼して複数の会社を比較検討されることをおすすめいたします。
また訪問会社や安さを売りにする工事店にも注意をしてください。
折角お金をかけて屋根塗装したのにそれが原因で雨漏りが起こってしまったというのはとてもつらいことです。
そんなことを避けるためにも、コロニアル屋根の塗装の際には縁切りがあるかどうか必ずご確認ください。
「他の業者にこんなことを言われたんだけど」など屋根や塗装のセカンドオピニオンなどご相談、相見積もりもどうぞお気軽にお問い合わせください。



























