住宅を劣化させる屋根の結露リスクとは?

2023/02/08

家と暮らしを守る大切な屋根ですが、紫外線や風雨に常に晒されるため徐々に劣化していきます。
ひび割れや欠けなどの破損箇所から雨水が浸水することで起こる雨漏りだけではなく、知らない間にじわじわと水が入り込むことによる結露によって内側から劣化する危険があります。

結露が発生すると下地材である野地板の腐朽など家の構造に関わる問題となります。
今回は屋根に潜む結露リスクについて発生原因と対策をご紹介します。

屋根の下地材腐食イメージ

屋根で結露が発生する理由

結露のイメージ

水蒸気が冷やされて結露が起こる

屋根で結露が発生する原因は、雨や露、霜、室内で発生する水蒸気で、これらが屋根の様々な場所で結露として発生します。
空気中には水蒸気が含まれており、空気が含むことができる水蒸気の量は温度に依存します。
温度が高くなるとたくさんの水蒸気を含むことができますが、空気が水蒸気を含むことができる量には限界があります。
空気が水蒸気を含める限界を飽和水蒸気量といい、空気が冷やされて温度が下がるとこの飽和水蒸気量が低下します。空気中の水蒸気の量が飽和水蒸気量を上回ると水蒸気は水に変化して結露となります。これが結露発生のメカニズムです。

結露発生のメカニズム

屋根は、下から野地板、防水シート(ルーフィング)、屋根材の三層構造になっています。
家から露や霜が解けた水が流れてきたときにこの防水シートが水を食い止めて軒樋に排水し、雨漏りを防ぎます。
しかし下で詳しく紹介しますがこの防水シートにしわがあったりすると水が溜まってしまい結露が発生することがあります。
また下から上がってきた温かい空気が防水シートまで上昇すると、防水シートは基本的に水も湿気も通さないため、暖かい空気に冷たい空気が触れて結露が起こります。

窓ガラスなど見える場所で起こる結露を「外部結露」、屋根や壁の内部で起こる目に触れない結露を「内部結露」と呼びます。
この普段は目に見えない内部結露は、雨漏りと並んで住宅を大きく劣化させてしまう非常に恐ろしい現象です。

施工不良の恐れも

施工不良が結露発生の原因を作っていることがあります。
特に屋根の棟に取り付ける「換気棟」は換気効率の高い換気方法ですが、取り付けが不完全な場合、湿気が逃げ場を失って屋根内部に溜まってしまうことがあります。
施工不良は施工時にはわかりにくく、工事の後何年もたってから症状が現れてきます。
まずは経験のある専門業者に依頼して原因を特定してもらいましょう。換気棟は施工不良の場合雨漏りになることもあるため、経験と実績のある業者に依頼するのが安心です。

屋根で発生しやすい結露の場所は?

屋根材の表面

冬に夜間に発生する放射冷却現象の影響によって、外気温よりも屋根の表面の温度が5度以上低下することにより、屋根材の表面に露や霜が発生します。
この屋根に発生する露や霜も一種の結露現象です。
温度が高くなって霜が解けると、スレートや瓦などに浸透していきます。
また表面の水分が凍結と融解を繰り返すことで発生する凍害にもつながります。

屋根材と防水シートの隙間

屋根材の下にある防水シートにしわがあると、そこに水が溜まってしまい、防水シートや屋根材を固定している釘のまわりからじわじわと水が染み込んでいきます。
金属屋根の場合は、屋根材の裏側に腐食を発生させることもあります。

防水シートと野地板の隙間

防水シートの下には野地板が敷かれていますが、野地板と防水シートの隙間に結露が発生したり、釘の周辺の隙間から雨水が侵入する恐れがあります。
結露により野地板の腐食や釘の劣化などが懸念されます。

野地板の室内側

特に冬場に暖かい室内の空気が、温度の低い小屋裏に張り込んで外気温に近い箇所に触れることで結露を起こします。

野地板や屋根材を固定する釘の頭部

野地板やスレートなど屋根材を垂木に固定する釘の頭部も結露が発生しやすい場所です。
屋根材の小口などから浸透した雨水が屋根材全面に広がると含水率が増加し、さらに小屋裏から侵入した湿気の影響も受けて湿度が増大します。
そこに昼間の強烈な日差しによって高温多湿の空気が生じて、周辺よりも温度が低い釘の頭部に触れることで結露が発生します。

小屋裏

屋根の室内側、天井裏である小屋裏にも結露は発生します。
キッチンや浴室、暖房の暖かい空気が上昇して建物の高い場所である小屋裏まで到達すると、外気で冷やされた小屋裏の冷たい空気と振れると結露が発生します。
冬ごとにこうした内部結露が発生すると、小屋裏の野地板や屋根下地が腐食してしまいます。

屋根で発生する結露のリスク

上で上げたような箇所で結露が発生してしまうと、屋根の下地として使用されている野地板が腐食を起こしてしまいます。
野地板は多孔質の合板が水分を吸収するため、結露が発生するような条件であっても表面に水滴を確認できないことが多く、発見が遅れてしまうこともあります。

木材が腐るのは木材腐朽菌が発生するためで、木材腐朽菌は湿度20%を超えると発生しやすくなります。
結露が発生し、水分がこもるようになると湿度が高くなり、木材腐朽菌の発生リスクが高まります。
屋根内部で起こる結露が進行すると、築10年の建物でも野地板や棟木・垂木など重要な躯体部分まで気づかないうちにボロボロに劣化してしまうようなケースもあります。

屋根の結露を防ぐには?

こうした屋根の結露リスクを防ぐためには、外気の環境や各建物の小屋裏、野地板、防水シートの状態、どんな屋根材を使用しているか、工法など各種の細かい組み合わせによって対策や発生のリスクが異なります。
全般的な屋根の結露対策としては、次の2つがあります。

小屋裏換気の向上

野地板の室内側に発生する結露には、小屋裏換気を行うことで対策が可能です。
室内から侵入してくる温かい空気を小屋裏で換気を行うことで結露リスクを下げることができます。
屋根断熱の場合には屋根の通気を向上させます。

透湿ルーフィング

防水シートと野地板の隙間に生じる結露に対しては透湿ルーフィングを施工することで、湿気を外気に逃して結露が起こることを防ぐことができます。

まとめ

屋根の結露リスクはあまり知られていませんが、気が付かないうちに家の大事な部分を腐らせてしまう恐ろしい現象です。
雨漏りよりも木材の腐食リスクが高いともされており、築10年未満の住宅でも躯体部分が腐食するなど大きな被害も起こす可能性があります。
屋根には様々な箇所で結露リスクがあり、結露を防ぐためには透湿ルーフィングと小屋裏換気が有効です。

家を守るためには定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。
屋根修理などの時に通気性能などを見直すことで、家の寿命を延ばすことにつながります。

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