屋根カバー工法(重ね葺き)
カバー工法は重ね葺きとも呼ばれるように、既存の屋根材の上から、新しい屋根を被せる工法です。
最も多いのはスレートから金属屋根(ガルバリウム鋼鈑)を被せる工事です。
葺き替え工事と比べて既存の屋根を解体しないためコストが安くなり、また工期も短くなります。
こちらでは、カバー工法についてメリット・デメリットや作業の流れについてご紹介いたします。
葺き替え工事との比較
カバー工法は、今ある屋根材を撤去せず、新しい防水シートを張り、その上に新しい屋根材を張って被せます。
そのため防水シートと屋根材という二つの防水機能が新しくなります。
葺き替えと違って既存の屋根と下地材をそのまま利用するため、下地材の傷みが激しい場合にはカバー工法は施工できません。
カバー工法 | 葺き替え工事 | |
---|---|---|
既存の屋根材 | 残して上から被せる | 撤去 |
下地材 | 残して上から被せる(既存の下地材・屋根材の上に防水シートを敷く) | 野地板は補強、防水シートは交換 |
費用 | 安い(撤去・処分代が抑えられる) | 高め(カバー工法の1.2~1.5倍) |
期間 | 短い | 長い |
耐震性 | やや低い(既存の屋根材に被せるため重くなる) | 高い(金属屋根の場合軽くなる) |
※下地材はカバー工法でも野地板を既存屋根の上に張り増しするなど屋根の状態によって異なります。
屋根カバー工法のメリット
工事費用を抑えることができる
既存の屋根の解体・撤去という作業が不要で、廃材が発生しないため、解体費用や廃材処理費がかからない分工事費用を抑えることができます。古いスレートなどアスベストが含まれている屋根材の撤去費用は高額になるため、その分の費用を浮かせることもできます。
工期が短くなる
屋根材の解体・撤去という工程が不要なため、その分工期が短くなります。
遮音性・断熱性の向上
既存の屋根の上に新たに屋根材をかぶせるので、屋根が2重構造になります。屋根にあたる雨音の軽減、断熱性の向上に繋がります。
屋根カバー工法のデメリット
屋根が重くなる
既存の屋根の上に新しい屋根を被せるため、どうしても屋根の重量が重くなってしまいます。屋根が重くなると建物に負荷がかかり、また重心が高くなるため地震の際の揺れも大きくなってしまいます。なるべく重量を減らすため軽い金属屋根を用いることが多いです。
今後の屋根の修理費用が高くなる
カバー工法は屋根が二重になるため、もし今後雨漏りなどが発生した時に原因の特定が困難になり、その分屋根の修理代が高価になる傾向があります。
屋根の状態によっては施工できない
下記にあるように、現在使用している屋根材の種類や屋根の状態によっては施工することができません。
屋根カバー工法ができない屋根
瓦屋根やセメント
瓦屋根など厚みや波のある建材の屋根は、金属材を屋根にしっかり固定できないためカバー工法の施工は困難です。
痛みの激しい屋根
雨漏りが屋根の内部にまで浸食している場合、屋根の下地材が腐食している可能性があります。その場合は傷んだ下地材の補修が必要ですのでカバー工法は施工できません。コストはかかりますが雨漏りを根っこから修復することで長期的に家を守り、支出も抑えられます。
一度カバー工法をした屋根
一度カバー工法を施工した屋根に再度カバー工法を行うことはできません。
屋根のリフォームのサイン
屋根は普段目に入りにくい場所なため、異変に気付きにくい場所です。実際に雨漏りなどの被害が出てから異常に気付くという事例が多いです。
時々前の道路や小高い場所などご自宅の屋根が見える場所から確認をしてみてください。
※屋根に登るのは危険なので避けてください。
雨漏り
瓦の剥がれ
ひび割れや欠け
屋根カバー工法の流れ
棟板金の撤去・雪止め金具の撤去
棟に取り付けられている棟板金を撤去します。そして棟下地または貫板という下地材も撤去。降雪地域で落雪を防ぐ目的で設置されている雪止め金具も撤去します。
防水シート敷き
既存の屋根の上から屋根の軒先から棟に向けて防水シートを敷き詰めます。屋根カバー工法を行う一番の目的は、最終的に雨水を防いでくれる防水シートの張替えです。シートの重ね幅を十分にとることで防水効果が上がります。
万が一雨水が入ってしまった際にこの防水紙が最後の要となるため、弊社ではこの防水紙選びをとても重要視しています。環境や施工方法に適した防水紙をご提案しております。
防水シート設置後に屋根の外周に幅10cmから20cm程度の板金部材を設置します。軒先唐草やケラバ水切りとも呼ばれます。
屋根材の設置
防水シートの上から屋根材を敷設していきます。
屋根材は長尺のものほど継ぎ目が少なくなり、雨の侵入を防ぐことができます。屋根材は非常に多くの種類がありますが。どんな屋根材をつかって、どんな施工方法で仕上げるかによってメリット・デメリットが変化します。
状態やご希望に合わせた最適な屋根材をご提案いたします。
貫板・棟板金の設置
屋根材の設置が終わった後に、屋根のてっぺんに被せる棟板金の下地である貫板を設置します。
木材が主流ですが、最近では腐食しにくい樹脂製のものもあります。
貫板の上から棟板金を設置します。屋根の頂点で雨を防ぐ重量な役割を担っています。一番高いところにあるため特に風の影響を受けやすいので、飛散防止のためしっかりと固定します。
工事の完了
板金の継ぎ目から水分が侵入してこないようにコーキング処理を行い、必要に応じて雪止めを設置してカバー工法の工事は完了です。
適切に施工されていれば30年以上の耐久性が期待できます。
株式会社福田総業では、工事の後も安心してお過ごしいただけるように、弊社が行った工事を施工から10年間保証いたします。